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2023.02.16
カスタマーサポートにおける応答時間の目安と短縮方法を解説

カスタマーサポートの重要な指標のひとつに「応答時間」があります。

応答時間とは、お客様からのお問い合わせに対し、オペレーターが最初に応答するまでの時間のことです。カスタマーサポートの「繋がりやすさ」を表す指標であり、顧客満足度に大きく影響します。

しかし、「具体的にどれくらいの応答時間を目指せばいいの?」と疑問に思う管理者の方も多いでしょう。

この記事では、カスタマーサポートにおけるチャネル別の応答時間の目安を解説します。また、応答時間を縮める方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてください。

電話の応答時間の目安

電話をかけた顧客がオペレーターに繋がるまでの時間の平均を「平均応答時間」と言います。コールセンターでは、平均応答時間の目標を20秒以内にするのが一般的です。

リックテレコムの「コールセンター白書2021」によると、平均応答時間について回答を寄せた76社の平均値は、21.5秒でした。うち、半数の会社が10秒以下と回答しています。

株式会社リックテレコム「コールセンター白書2021」を元に作成

J.D.POWERが発表した「2016年コールセンター満足度調査」では、顧客満足度の高いコールセンターは、電話が繋がるまでの待ち時間が短いという共通点があると示されています。調査企業全体の平均応答時間が4.4分なのに対し、上位5社は2.1分とその差は歴然でした。

また、J.D.POWERの「2022年カスタマーセンターサポート満足度調査<金融業界編>」では、応答時間が「3分」を超えると満足度が大きく低下する傾向が確認されています。

10~20秒以内の応答が難しい繁忙期でも、顧客満足度の”低下”を防ぐために3分以内の応答を目指すようにしましょう。

有人チャットの応答時間の目安

有人チャットのメッセージに対しオペレーターが返信するまでの応答時間は、30秒程度を目指すのが一般的です。

有人チャットを選択するお客様は、普段からチャットでのコミュニケーションに慣れています。そのため、日常で体験している返答のスピード以上に待たされると、不満を感じやすいので注意しましょう。

モビルスの調査でも、「チャットの問い合わせは便利だと思う理由」として65.7%が「待たされないこと」を挙げており、チャットの応答時間に対する期待値の高さがうかがえます。

出典:お客さま窓口の利用実態調査|モビルス株式会社

また、J.D.POWERの「2022年カスタマーセンターサポート満足度調査<金融業界編>」では、有人チャットの応答時間が「3分」を超えると満足度が大きく低下する傾向が確認されています。

有人チャットは電話と同じように早期解決が期待されるサポートツールのため、顧客満足度の低下を防ぐためには、遅くとも3分以内の応答を目指しましょう。

メールの応答時間の目安

メールでの問い合わせには、24時間以内に対応するようにしましょう。

カスタマーサポートツール「Tayori(タヨリ)」が行った調査によると、問い合わせフォームのように”返信待ち”が生じるツールを利用した際、回答まで待てる時間の限界は、「24時間以内」と回答した人が70.5%を占めました。

出典:お問い合わせフォーム対応時間に関するアンケート調査|株式会社PR TIMES

一方、「早いと感じる」応答時間については、下図の通り問い合わせから「1時間」が分岐点となりました。

出典:お問い合わせフォーム対応時間に関するアンケート調査|株式会社PR TIMES

1時間以内に返信することでお客様の期待値を上回り、顧客満足度の向上が期待できます。

もし業務内容やコールセンターの規模によって1時間以内に返信が現実的ではない場合には、自社の応答時間と顧客満足度のデータを照らし合わせ、満足度を維持できる応答時間のラインを見出すことをおすすめします。

応答時間を短縮する方法

各チャネルの応答時間の目安が分かったところで、次に気になるのは「どうやって基準に近づけるか」という点でしょう。

応答時間を短縮する方法は、以下の4つです。

応答時間を短縮する方法
・オペレーターを増員する
・処理時間を短縮する
・自己解決できるコンテンツに誘導する
・IVRを活用する

オペレーターを増員する

応答時間を短縮する方法として最初に考えられるのが、オペレーターの増員です。慢性的に長い待ち時間が生じている場合には、問い合わせの数と平均処理時間(オペレーターが1件の問い合わせ対応に要する時間の平均)を照らし合わせ、適正なオペレーターの数を確認するようにしましょう。

また、問い合わせの数は、季節や曜日、時間帯、イベントなど様々な要因によって左右されます。オペレーターが多すぎて待機時間が増えてしまうようでは人件費の無駄なので、過去のデータから日ごと、時間ごとに入電数を予測した上で人員配置を行いましょう。

近年では、問い合わせ数や必要人員の予測・最適化をする「ワークフォースマネジメント(WFM)」を自動化したシステムも登場しています。煩雑なシフト作成を効率化する手段として、検討する価値はあるでしょう。

処理時間を短縮する

問い合わせ1件あたりの処理時間を短縮することで、次のお客様をお待たせせず、応答時間を短縮できます。

処理時間を短縮するには、以下のような方法があります。

<処理時間の短縮方法>
・CRMツールなどを導入し、顧客情報や過去の問い合わせ履歴、関連するFAQなどを調べる時間を短縮
・オペレーター向けのマニュアルやトークスクリプト、メールテンプレートなどを充実させ、スムーズに回答できるようにする
・エスカレーションを減らすために、SVによるロールプレイングやモニタリングといった研修を行う

自己解決できるコンテンツに誘導する

顧客向けのFAQページやチャットボットを充実させて自己解決に導くことで、問い合わせ数が減り、結果的に応答時間も短縮されます。

そのためには、お客様のニーズに合ったFAQを用意し、閲覧しやすい環境を整えることが不可欠です。最低限FAQに必要な項目については、以下の記事をチェックしてみてください。

カスタマーサポート窓口を開設する際に必要となるFAQの項目とは - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

IVRを活用する

電話で使用される「IVR(自動音声応答システム)」では、「ご契約については1を、製品の使用方法については2を……」といった音声ガイダンスによって問い合わせの分類が可能です。これにより問い合わせ内容によって担当部署に振り分けられ、電話の取り次ぎがなくなるため、結果的にお客様をお待たせする時間も短縮されます。

また、最近では、スマートフォン利用者を対象にした「ビジュアルIVR」も登場しています。入電した顧客をFAQやチャットボットといった自己解決コンテンツへ誘導することで、オペレーターに繋がる件数自体を減らすことも可能です。より詳しくは、以下の記事をご一読ください。

コールセンターのビジュアルIVR。概要や導入の向き・不向きについて解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

顧客に対して待ち時間のアナウンスをする

目標とする応答時間を上回ってお客様をお待たせする場合には、企業サイトやIVRを利用して待ち時間をアナウンスするようにしましょう。待ち時間の予測がつくことで、お客様が「そのまま待つ」か「別の方法にする」かを決める判断材料になります。

待ち時間をアナウンスする際には、実際の予想より少し長めの時間を知らせましょう。これは最初に聞いた待ち時間より早くオペレーターに繋がった方が、好ましく受け止められる傾向があるからです。

同時に、お客様を「待たせない」方向へと誘導することも重要です。

IVRを使った以下のような方法も、顧客満足度の向上のために検討すると良いでしょう。
・SMSを送信し電話以外のチャネルで解決する
・コールバック機能で折り返し電話の予約を受けつける

まとめ

顧客満足度に大きく影響する応答時間について、理解が深まったでしょうか?以下の表に応答時間の目安をまとめました。

チャネルごとの応答時間の目安

  電話 有人チャット メール
顧客満足度につながる 20秒以内 30秒以内 1時間以内
最低限守りたい 3分以内 3分以内 24時間以内

他にもカスタマーサポートではどんな指標を重視すべきか知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。

カスタマーサポートで重視すべき指標4選!電話対応の重要指標も解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

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