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2021.12.09
真の解約理由を聞き出す方法とは?

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こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。

“解約率”。管理者・経営者であればこの3文字に敏感な方は多いでしょう。あまり考えたくない数字ではありますが、決して無視できない数字です。

この記事では、真の解約理由を聞き出して利用継続に繋げる方法を解説します。

コールセンターにおいて解約理由のヒアリングがなぜ重要か?

解約理由をヒアリングする重要性としては、以下の2つがあります。

①解約理由を分析することで、サービス改善や解約抑止の貴重なヒントが得られる

②トラブルの影響を最小限に留められる/トラブルに素早く対応できるようになる

例えば、ネットショップで化粧品を出品しているとします。

肌につけたり身体に取り入れたりするタイプの商品は、予期しなかった健康被害があったり、何らかの不具合があったりすると、行政や保健所からの指導を受け、消費生活センターにも対応しなければならなくなる可能性があります。

そのような事態になる前にいち早くお客様から報告を受け、商品回収などの対応を行い、「被害を最小限に抑えたい」と思われるでしょう。

もし解約理由のデータ収集・分析をしていない場合は、すぐにこの課題に取り組むことをお勧めします。

関連記事:VOCとは?活用のメリットやポイントをご紹介。

真の解約理由を聞き出す方法

解約理由のヒアリングが重要だとしても、実際にはお客様が本当の理由を言いたがらなかったり、ただの断り文句だったりして、言葉の裏にある真の解約理由を聞き出せていない場合があります。

ですから、お客様が言うことすべてを真に受けて、サービスに反映させるのは危険です。効果の出ない施策を行って想定とは逆の結果になり、迷走しかねないからです。

それに、解約の本当の理由が分からないまま解約を抑止するのは困難を極めます。もし解約する本当の理由を聞き出せれば、お客様の真のニーズを把握し、効果的な提案を行えます。

では、ストレートに理由を聞いても、本当の解約理由を教えてくれないお客様がいるのはなぜでしょうか?様々な理由がありますが、よくある理由を下記に列挙します。

  1. 「他社に乗り換える」とは言いづらい
  2. 既に比較して、ちゃんと理解して決めたので、無駄なやり取りをしたくない
  3. 引き留められたくない

このように感じているお客様から「本当の解約理由を聞き出すのは難しい」と感じたかもしれません。もちろん、すべてのお客様が話してくれるわけではありませんが、聞き方次第で話してくれる可能性は上がるため、コンサルティングをしているような意識で対応しましょう。

まずは、よくある解約理由を例に出しながら質問します。

例えば通信サービスにおいて、単純に上記『1.「他社に乗り換える」とは言いづらい』と感じているお客様の場合、次のように尋ねられるかもしれません。

「多くのお客様が他社様にお乗り換えするのですが、〇〇様もお乗り換えでございますか?」

率直な質問ではありますが、「多くのお客様」と付け加えると、「結構みんな乗り換えているんだな」という風に、お客様が感じる必要のない罪悪感が一気に軽くなり、答えてもらいやすくなります。

上記2.に関しては、比較して決めたなら「抑止するのは難しい」と感じるかもしれません。しかし、解約抑止に繋げられる可能性は十分にあります。

お客様が解約の手続きのためにコールセンターに電話をした時点では、「他社に乗り換えるのが一番いい選択」と感じているので、確かに難易度は高いです。

しかし、お客様が本当に正確な情報に基づいて、正確に比較できているかは、別問題です。つまり、お客様は他社の営業担当者から言葉巧みにメリットばかりを聞かされ、「総合的な判断ができていない可能性がある」ということです。そのため、お客様が本当に正確な情報に基づいて判断しているかを確認する必要があります。

お客様が公式HPやチラシを確認したのか、あるいは、営業担当者から単に話を聞いただけなのかがポイントです。

主要な競合先の情報を日頃から収集しておき、即答できるようにしておくのがベストです。しかし、すべての情報を把握するのは不可能なため、会話中に競合先の公式ウェブサイトを確認するようにします。

上記3.に関しては2.と同じようなアプローチを試しますが、無理な引き留めをせずに、効率を優先してスムーズに手続きを済ませるのが得策です。なぜなら、解約の意志が固く、どんなアプローチにも拒否反応を示すお客様を引き留めようとしても、印象を悪くしてしまうだけだからです。

また、解約抑止の成功率が高いほど、説明に費やす時間は長くなるケースが多く、効率とのバランスも重要になります。

乗り換え先の情報が必要な理由をハッキリと伝える

乗り換え先が分かれば製品を比較しやすく、自社が優位な点をアピールできます。

また、乗り換え先を教えていただけないと、お客様の不利益に繋がる場合もあるため、その点を親切に伝え、尋ねてみましょう。実際よりも条件が良いように解釈している場合もあるため、「本当にお客様にとって最善かどうか確認させていただきたい」と伝えるのも一つの手です。

ただし、応対全体を通してオペレーターの誠実さが伝わらないと効果はありません。「お客様に最善の決定をしていただきたい」という姿勢が重要なのです。

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新規契約以上に解約抑止が重要な理由

ユーザー数が数百万人、あるいは数千万人という企業においても、解約抑止が新規契約以上に重要なのはなぜでしょうか?なぜなら、新規契約を獲得するコストが高いからです。

一人の新規契約を獲得するのにかかるコストを計算してみてください。業界やチャネル、キャンペーン内容によって異なりますが、キャッシュバックや特典、無料期間等を設けている場合、先行投資が大きくなってしまいます。代理店や、営業マンにかかる費用も含めると莫大な金額に上るでしょう。

一方で、既存のお客様に利用継続いただくためにかかるコストは、一般的に新規契約にかかるコストより低いと言われています。

新規契約獲得にかかるコストを算出する

まずはPaid CACを考慮してみましょう。CACは、Customer Acquisition Cost の略で、「顧客獲得コスト」という意味があります。それに対し、Paid CAC は広告などにお金を払い、新規顧客を獲得したときにかかるコストのことです。
(LTVやCACは業界や提供サービスによって、計算式が異なることがあります。本記事では Sales Renovation さんの記事 の算出方法を参考にしています。)

Paid CAC = 広告等にかけたコスト ÷ 広告からの新規契約数

次に考慮する必要があるのは、LTVです。LTVとは Life Time Value の略で、日本語では「顧客生涯価値」という意味合いがあります。要するに、企業に対して、「顧客が生涯のうちにどれだけお金を使ってくれるか」という数値です。

LTV = 平均月額料金 × 契約期間 × 粗利率 -(CAC・維持コスト)

単純にいうと、Paid CACに10万円かけて、10万円以上の利益をもたらしてくれるのであれば、投資を検討する価値があります。

Paid CAC < LTV

解約抑止の落とし穴と、解約抑止率を上げる方法

真の解約理由を聞き出し、お客様の検討に役立つ正確な情報を提供することで、解約を抑止できることもあります。

しかし、解約抑止率を無理に上げるようとすると、オペレーターが強引な引き留めを行う場合があるので注意が必要です。

解約抑止率を上げていくには、まずはIVRや転送を使って、解約抑止率の高いベテラン担当者に対応してもらうようにし、そこで溜まったノウハウを元に社内研修を実施するといいでしょう。

また、解約抑止は高度なヒアリングスキルが求められる負担の大きい業務であり、業績アップに繋がる分野でもあるため、給与への反映も前向きに検討しましょう。

関連記事:コールセンターでの人事評価の方法と重要ポイントとは?

関連記事:コールセンターにIVRは必要?導入のメリットやポイントをご紹介

解約になった場合の理想の対応

解約になったからといって、多くの場合、そのお客様と「永遠のお別れ」というわけではありません。今回は解約になるとしても、今まで契約いただき、ご利用いただいたお客様ですから、最後まで感謝の心を忘れずに対応しましょう。

「もう二度とこの会社とは契約しない」と思われてしまったら、企業のブランドイメージに傷がつきます。なお悪いことに、口コミとして広まってしまうなら、大きな損失になるかもしれません。

一方、オペレーターが、これまでご愛顧いただいたお客様に感謝しつつ解約手続きを行った場合、お客様のその企業に対する印象はとても爽やかで良いものになります。

「数年後、またこの会社の製品を利用したいな」

そう思っていただけるのが理想です。

まとめ

解約抑止率を上げるためには、競合先のリサーチと自社の強みを知ることが基礎になります。真の解約理由を深堀りして真のニーズを掴めば、アップセルやクロスセルに繋げることもできます。

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参考文献:3倍じゃなきゃダメ?SaaSに重要なLTV&CAC計算方法を解説

【図解・具体例あり】LTVとは?計算方法・最大化する5つの方法 | SalesRenovation

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