カスタマーサポートの業務改善に必須となっているお客様アンケート。お客様からの生の声を拾い上げられるため、多くのカスタマーサポートセンターで実施されています。
では、具体的にお客様アンケートが重要だといわれる理由はどこにあるのでしょうか?また、アンケート結果を活かすにはどうしたらよいのでしょうか?
今回は、「カスタマーサポートにおけるお客様アンケートの重要性とアンケート結果を現場で活かすにはどうしたらよいのか」について解説します。
- カスタマーサポートにおけるお客様アンケートの意義
- お客様アンケートを実施するメリット
- お客様アンケートに設けておきたい質問とは?
- お客様アンケートを作成する際の注意事項
- お客様アンケートの結果はどのように活かせばいいのか
- カスタマーサポートを成長させるヒントがお客様アンケートには隠されている
カスタマーサポートにおけるお客様アンケートの意義
カスタマーサポートセンターにおいて、お客様アンケートは業務改善に向けた意見を収集するという大きな役割を担っています。
カスタマーサポート業務を行うコールセンターでは、顧客満足度の向上を最重要目標として掲げています。そのため、実際にオペレーターの対応を受けたお客様からの声は、改善点を洗い出す際に重宝されています。
『コールセンター白書2022』によると、最も重要なコールセンターの目的を聞いたアンケート結果は以下のとおりです。
・出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P53
このアンケートからも、先述したように「顧客満足度の向上」を最優先目的として運営を進めている企業が多いことがわかります。
そのほかの「顧客サポート業務の効率化」や「VOCの収集と関連部署への共有」に関しても、お客様アンケートから得られるヒントは数多くあるため、コールセンターの運営において重要な役割を担っているといえます。
お客様アンケートを実施するメリット
カスタマーサポートでお客様アンケートを実施するメリットとして、「顧客満足度の向上が見込める」「業務の課題を見つけ改善が図れる」「既存顧客を維持できる」という3点があります。
顧客満足度の向上が見込める
先述したように、カスタマーサポートを含むコールセンターの最も重要な目的は顧客満足度を向上させることです。
顧客満足度は顧客体験(CX)と深く関係しています。カスタマーサポートは企業の代表として顧客対応を最初に行う部門です。そのため、より良い顧客体験を提供できるかどうかはカスタマーサポートにかかっているといっても過言ではありません。
その点において、顧客の生の声を収集できるお客様アンケートは、「顧客がどこに不満を感じているのか」をいち早く把握するうえでとても大切な資料であることから、実施するメリットが大きいといえるのです。
業務の課題を見つけ改善が図れる
お客様アンケートの内容には対応したオペレーターへの意見だけでなく、「待ち時間が長い」「たらい回しにされた」など、センター全体の品質に対する意見も多く寄せられます。
つまり、オペレーター個人の課題だけでなく、センター全体として取り組むべき課題を発見することもできます。
そもそも課題がわからなければ改善もできませんので、お客様アンケートからセンター全体(オペレーター個人も含む)の課題を把握することは、業務効率の改善や品質向上を目指すうえで大きなメリットとなります。
既存顧客を維持できる
先述した「顧客満足度の向上」や「業務改善」が実現できると、それにともなって既存顧客を維持しやすくなります。
これは顧客体験(CX)に起因する内容として有名であり、より良い顧客体験を提供することで、他社への乗り換えなどを含めた解約率を下げられるというものです。
企業にとって新規顧客を増やすのも重要ですが、すでに自社製品やサービスを利用している既存ユーザーの維持も意識しなければいけない問題です。
その点から考えても、お客様アンケートをヒントにした顧客満足度の向上または業務改善に向けた各施策は、間接的に既存顧客維持というメリットを生み出しているといえるわけです。
お客様アンケートに設けておきたい質問とは?
カスタマーサポートが実施するお客様アンケートに最低限設けておきたい質問例は、以下のとおりです。
≪お客様アンケート 質問例≫
- 電話がつながるまでの待ち時間はいかがでしたか?
- 今回の問い合わせで問題は解決しましたか?
- 担当オペレーターの対応に満足しましたか?
- 対応完了までの時間はいかがでしたか?
- その他、ご意見やご感想があればお聞かせください(フリー入力できる欄を設置)
カスタマーサポートにおけるお客様アンケートの場合だと、担当オペレーターの対応スキルや電話がつながるまでの待ち時間についての質問が大半になります。
質問に対する回答方法はさまざまですが、「満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「不満」などに評価段階を分けて選択してもらう方法が広く用いられています。
そのほかにも、上記質問例にある「その他、ご意見やご感想があればお聞かせください」の項目のように、顧客がフリーで入力できる欄を設けられている場合も多いです。
お客様アンケートを作成する際の注意事項
お客様アンケートを作成する際に注意すべき点を2つご紹介します。
質問の数を増やしすぎない
企業によってはお客様アンケートを実施する際、大量の質問を設けてしまうケースがあります。しかし、それはあまりお勧めできません。というのも、質問内容が多すぎると顧客は最後まで答えてくれなくなるからです。
質問数を検討する際は、「類似する質問がないか」「回答してもらう必要のある内容か」をしっかりと見極めたうえで適切な量を設定することが大切です。
全質問への回答を「必須」にしない
全質問への回答を必須項目にすると、先述した「質問の数を増やしすぎない」で指摘した内容と同じく、顧客が最後までアンケートに回答してくれません。
アンケートは顧客の任意で実施していただくものなので、「時間や手間を取らせない」という考えのもと作成するのが基本です。そのため、できる限り必須回答の質問を設けないのが望ましいといえます。
また、全質問への回答を必須にすると、顧客によっては該当の質問に対してのみ情報を提供したくないという場合でも無回答が選択できないため、そのほかの質問すべてに回答しているにも関わらずアンケートが送信できないという可能性が出てきます。
これだと、時間をかけて回答した顧客は不快に感じますし、企業としても貴重な意見を収集できなくなり、どちらにとってもマイナスでしかありません。
以上のことから、回答必須の質問を最小限にとどめ、少しでも顧客の負担を減らす方法を考えることが重要だといえるでしょう。
お客様アンケートの結果はどのように活かせばいいのか
カスタマーサポートに寄せられるお客様アンケートは、担当オペレーターへの不満またはセンター全体に対する不満のどちらかです。そのため、どういった内容なのかによって今後への活かし方も変わってきます。
例えば、対応したオペレーターのスキル不足が指摘された場合であれば、アンケートで指摘のあった内容をもとに管理者によるフィードバック、または全オペレーターを対象とした研修などを実施するのがベターです。これにより、該当オペレーターはもちろん、オペレーター全体のスキル底上げにもつながるため、対応品質の向上が期待できます。
一方で「つながるまでの時間が長い」「たらい回しにされた」など、センター運営に関する指摘があった場合は、管理者間で課題を共有し改善策を検討しなければなりません。
改善策を例としてあげるなら、「つながるまでの時間が長い」という課題に関しては、時間帯ごとの入電数を分析し、入電の多い時間帯に人員を集中させる(人員コントロール)、一次受け対応の担当者を選任し折り返し対応を提案する、などが考えられます。
お客様アンケートの結果をどう活かすかはセンター次第です。「たかがアンケート」などと思わず、改善に向けた重要な資料として積極的に取り入れる姿勢が大切です。
カスタマーサポートを成長させるヒントがお客様アンケートには隠されている
今回はカスタマーサポートにおけるお客様アンケートの重要性と、アンケート結果の活かし方について解説しました。
アンケート結果はセンターによってとらえ方が異なるはずなので、内容をもとに業務研修の実施やマニュアル類の整備、新しいシステムの導入による業務効率化への取り組みなど、自社にあった活かし方を検討するとよいでしょう。
カスタマーサポートを成長させるヒントがお客様アンケートには多く隠されています。高品質な顧客対応ができるセンターを作るためにも、お客様アンケートの実施および内容の精査を徹底しましょう。
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