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2023.03.01
カスタマーサポートにおけるイレギュラーな問題への適切な対応方法とは

カスタマーサポートをはじめとするコールセンター業務において、必ず発生するのがイレギュラー対応です。イレギュラー対応による身体的なストレスは、コールセンターの離職率が高い要因のひとつとして考えられています。

では、イレギュラーな問い合わせが発生した際、どのように対応するのが適切なのでしょうか?

今回は「カスタマーサポートにおけるイレギュラーな問題への適切な対応法」について解説します。

一次対応をすることになるオペレーターだけでなく、上席対応を担う管理者のみなさんも、ぜひこの機会にイレギュラー対応に求められる本質と具体的な対処法を理解しましょう。

コール業務でよくみられる「イレギュラー対応」とは?

カスタマーサポートなどのコールセンター業界では「イレギュラー対応」と呼ばれる、特定の顧客に対して、特別な対応を行う場面がよくみられます。

イレギュラー対応はそのほとんどがクレームの電話からはじまります。例えば、「商品を購入したが数日で壊れてしまった」「申し込みの際に十分な説明をスタッフから受けていない」など、その内容はさまざまです。

しかしながら、クレームの電話を入れてきたすべての顧客に特別な対応をしていては埒があきません。そのため、多くのコールセンターは「企業側(こちら側)に落ち度がある場合にのみイレギュラー対応する」という認識のもと業務を行っています。

もちろん、顧客都合によるイレギュラー対応がまったくないわけではありません。

例としてあげると、重クレームに発展しそうな場合、スーパーバイザー(SV)以上の管理者が対応しなければならないほど事態が深刻な場合、などが考えられます。

ここまでをまとめると、イレギュラー対応とは「特定の顧客に対して特別な対応を行うことであり、問題発生の理由が一部例外を除き企業起因である場合に限られる」となります。

所属するカスタマーサポートセンター(企業)によってイレギュラー対応の範囲は異なってくるため、一概に上記が正解とはいえませんが、一般的な考え方として理解しておきましょう。

現場で行われているイレギュラーな問題への対策

実際のコールセンターの現場では、どのようにしてイレギュラーな問題へ対処しているのでしょうか?

『コールセンター白書2022』によると、「クレーム/炎上対策」について聞いたアンケート結果は以下のとおりです。

●出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P82

これによると、多くの企業で「ベテランオペレータにエスカレーションすることにしている」と話しており、クレームや炎上しそうな案件への対応が属人化していることが浮き彫りになりました。

近年話題にあがる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」にあるように、対応の属人化は個人に過度な負担をかける場面が多く、企業として適切な対応とはいえません。

このことから『コールセンター白書2022』では、個人に対応を任せるのではなく、「関連部署を含めた組織対応をルール化している」「関連部署や経営を含めて、緊急時の情報共有と対応体制について意思疎通を図っている」とあるように、“組織全体”で対処していくことが大切だと指摘しています。

筆者もコールセンターで管理者として働いていた経験があります。

当時はまだカスハラのような言葉が浸透しておらず、優れたオペレーターへの転送や管理者による上席対応が一般的であり、「組織全体でイレギュラーな問題に取り組むべきだ」とする意識はほとんどありませんでした。

そのため、顧客から人格否定のような言葉を浴びせられても我慢するしかなく、それが苦で退職するスタッフも大勢いました。

これからのコールセンター業界には同書で提言されているように、個人(オペレーター)を組織が守る姿勢がより一層求められることでしょう。

イレギュラーな問題が発生した際の適切な対応方法

カスタマーサポートでイレギュラーな問題が発生した際にはどのように対応したらいいのでしょうか?オペレーター編と管理者編に分けてご紹介します。

オペレーター編

イレギュラー対応が必要な問い合わせが入ってきた際、オペレーター単独で顧客と話を進めるのはNGです。

というのも、オペレーターにはイレギュラー対応を行うためのシステム権限が付与されていないケースがあったり、クライアント企業と相談しなければならない案件の可能性があったりなど、管理者以上でなければできないアクションが複数存在しているためです。

そのため、オペレーターとしてイレギュラー対応に入る場合には、「単独で対応するのではなく管理者に助けを求める」ことが大切になってきます。

オペレーターの立場でイレギュラーな問題に対応する際は、以下の順番でアクションを進めるとよいでしょう。

オペレーターができる適切な対応方法

①:顧客の話を聞く(問題の原因が企業・顧客どちらにあるのかヒアリングする)

②:管理者へ報告(顧客からの問い合わせ内容を管理者に共有。指示を仰ぐ)

③:管理者または関連部署へ対応を引き継ぐ(オペレーターの権限で対応できない、または担当部署が存在する際は、そちらに引き継ぎを行う)

基本的にイレギュラー対応は管理者による指示が必須です。そのため、オペレーターが単独で話を進めたり、処理を実行したりするのではなく、しっかりと直属の上長から許可を得たうえで行いましょう。

管理者編

管理者がイレギュラー対応をする場合、オペレーターと顧客がどんなやり取りをしていたか把握することが大切です。そのため、オペレーターから手上げによるヘルプ依頼がきた際は、状況把握のためモニタリングに入るようにしましょう。

管理者が取るべきイレギュラーな問題への対応は以下のとおりです。

管理者ができる適切な対応方法

①:オペレーターと顧客のやり取りを聞く(リアルタイムモニタリング)

②:オペレーターへの指示出し(回答までに必要なおおよその期間、次回連絡が可能な日時の聞き取りなど)

③:②までで終話できない場合、上席対応に移行する

④:(自身が上席である旨を説明したうえで)顧客との認識に齟齬が出ないよう再度問い合わせ内容を確認する

⑤:すぐに回答できないものに関しては②と同様の案内をする

⑥:終話後、関連部署にイレギュラー対応が可能か問い合わせる(回答までに数日かかることが多い)

⑦:(回答が出たのち)イレギュラー対応が可能か、またその範囲がどの程度なのかを顧客に説明する

⑧:顧客が納得すれば対応終了だが、不納得の場合は⑥へ戻る

管理者が対応するような案件の場合、その多くが他部署へ転送ができないものが多数を占めます。そのため、自部署内でできる対応が何なのか、その範囲がどの程度なのか決める必要があります。クライアント企業が存在する場合は、事前に許可を取る必要があるため、アウトソーサーとして業務を担っているセンターは注意が必要です。

イレギュラー対応のフローをオペレーターに周知するには

イレギュラー対応のフローをオペレーターに周知する方法として適しているのが、「研修に盛り込む」「イレギュラー対応を行った事案について内容を共有する」というものがあります。

新人研修の場面などで実際に発生したイレギュラー対応の概要を教えることで、一般的な問い合わせと特別な対応が必要な問い合わせの違いを大まかに把握してもらうことができます。

また、実際に現場で発生したイレギュラー対応について、その内容をオペレーターに共有する方法もおすすめです。これにより、似たような問い合わせが来たときも慌てずに対応できます。

これら以外にも、FAQやマニュアルに掲載するなどの方法があります。イレギュラー対応時のフローに関しては、カスタマーサポートセンターそれぞれに基準があると思いますので、自社にあった方法でオペレーターへ周知するとよいでしょう。

イレギュラーな問題にも丁寧に対応することが大切

イレギュラー対応は、カスタマーサポートセンターを困らせる厄介な問題です。しかし、ここで丁寧な顧客対応ができれば、顧客を自社製品やサービスのファンにすることもできます。

「イレギュラー対応はストレスが溜まる」「なんで自分がやらないといけないのか」など不満に感じることも多いと思います。しかし、一度行ったイレギュラー対応は次回同じような事案が発生した際の良き判断材料になります。

一般的な問い合わせだけでなく、イレギュラーな問題にも丁寧に対応することで、より顧客から満足してもらえるカスタマーサポートセンターを築くことができるでしょう。

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≪参考文献≫

●「コールセンター白書2022」
月刊コールセンタージャパン編集部/株式会社リックテレコム/2022.10.31

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