こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
コールセンターの運用方法には、自社ですべての業務を担うものと、アウトソーサーに業務を委託するものの、大きく分けて2つがあります。
それぞれにメリット・デメリットが存在し、企業活動の規模などによって使い分けられているのが特徴です。
現在では外部のアウトソーサーに業務を委託するコールセンター代行の需要が高く、顧客対応の多くを代行業者に頼んでいる企業も珍しくありません。
そこで今回は、コールセンター代行の概要を説明しつつ、現場での運用実態や活用される理由、活用にあたっての課題について解説します。
これからコールセンター代行を利用しようと考えている企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
コールセンター代行とは
コールセンター代行とは、顧客からの問い合わせに対し、依頼主である企業の代わりに電話対応するサービスのことです。
問い合わせ内容の複雑化や顧客体験(CX)の向上に対処するため、近年では電話対応のプロであるアウトソーサーを活用したコールセンター代行の需要が高まっています。
では、なぜ多くの企業がコールセンター代行を利用するのでしょう。その背景には以下の課題があるとされています。
≪コールセンター代行を活用する理由≫
・問い合わせの数が多い
・問い合わせ対応をする人材が確保できない
・自社では品質の高い顧客対応が難しい
・顧客対応のノウハウがない
・コールセンターの運用コストを削減したい
・コールセンターを運用するスペースがない など
このような理由から、各企業は自社で解決できない課題をコールセンター代行の活用により補っているのです。
また、コールセンター代行ではインバウンド業務だけでなく、アウトバウンド業務も代わりにやってくれます。
新商品・サービスの提案や自動音声によるお客様アンケートの実施など、顧客へのアプローチのきっかけ作りにも利用されています。
『コールセンター白書2021』からみる現場の運用実態
実際の現場ではコールセンター代行がどの程度利用されているのでしょうか?『コールセンター白書2021』のアンケートを参考にみていきます。
コールセンターの運用方法を詳しく解説すると、業務上の命令などのマネジメントを自社で行う「インハウス型」、マネジメントの多くを外部に委託する「アウトソーシング型」があります。
以上を踏まえたうえで『コールセンター白書2021』に掲載されている、コールセンターの運用形態を聞いたアンケート結果をみてみましょう。
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出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2021』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.26/P61
この結果をみると、インフラ・人材すべてを自社で調達している「完全インハウス」が38%と高くなっています。
一方、インフラ・マネジメント・人材などすべてを業務委託している「完全アウトソース」はわずか2%です。
しかし、回答の①~④を併用しているとする回答が全体の31%と高水準となっており、「完全インハウス」「完全アウトソース」だけでなく、それらを併用したハイブリッド型の運用が数多く行われていることを示しています。
その理由として、大規模または複数の拠点(サイト)を展開する場合、インハウス型とアウトソース型を組み合わせるかたちが、人材確保やマネジメントの面で有効だと考えられているためです。
とはいえ、複数の運用形態を組み合わせることで、顧客対応の品質や生産性確保という面においてばらつきが出やすいという課題もあります。
コールセンター代行が活用される理由
企業がコールセンター代行を活用するのは、数多くのメリットが存在するからです。
『コールセンター白書2021』に掲載されている、アウトソーサーを活用する理由というアンケートがその実態を物語っています。
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出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2021』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.26/P64
アンケートに掲載された項目のうち、割合の大きい上位4つについて解説します。
労働力が確保できないから
企業側からすると、顧客対応のみを専門に行う人材の確保はとても難しいです。その理由として、BtoB事業であれば営業担当者が顧客対応を兼務できますが、BtoC事業になると、顧客からの問い合わせ数が過大となり、自社の社員のみで対応するのは困難だからです。
アウトソーサーに委託することで、自社で労働力を確保する必要もなく健全な顧客対応を実現できることから、企業にとってプラスとなる面が多くあります。
業務量の変動に柔軟に対応できるため
顧客対応を行う部署には決まったタイミングで繁忙期が来ます。
携帯電話の問い合わせ窓口を例としてあげると、新機種が発売された直後や新学期・新年度がはじまる直前などが繁忙期です。
繁忙期になると、通常の人員配置では顧客からの問い合わせすべてに対応するのは困難です。
そのため、一時的な繁忙にあわせて人員配置をクライアント企業が自社で管理・コントロールしなくて済むことから、アウトソーサーによる柔軟な対応はとても重宝されています。
人件費削減
コールセンターを自社で開設すると、月々の人件費だけでも多大なコストがかかります。
しかし、アウトソーサーに委託すれば、委託先の企業が人員確保および人件費の支払いをしてくれるため、依頼した企業側は自社でコールセンターを運用するよりもコストを抑えられます。
対応品質の向上と平準化
顧客対応のノウハウを持っていない企業がコールセンターなどを開設すると、オペレーターによる品質のばらつきなどが起こりやすくなります。
その点アウトソーサーは顧客対応のプロとして多くのノウハウを蓄積しています。そのため、対応品質の向上や安定した品質の確保を目的とする企業ニーズにマッチしているのです。
コールセンター代行を活用するうえでの課題
コールセンター代行が活用される理由を解説しました。次は企業が感じている課題点について見ていきましょう。
『コールセンター白書2021』にて、業務委託の際の課題を聞いたアンケート結果は以下のとおりです。
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出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2021』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.26/P65
今回はアンケート結果に掲載された上位3つについて解説します。
価格に見合った対応品質の維持
企業がコールセンター代行を活用する大きな理由は、サポート面における顧客満足度の向上を期待しているからです。
そのため、依頼した企業側が求める水準よりアウトソーサーの業務成績が低いと、おのずと費用対効果が悪いと思われてしまうものです。
とはいえ、昨今は感染症対策による時短営業・対応人数の制限などが実施されていることから、企業側が求める水準をクリアするのが難しいというアウトソーサー側の苦悩もうかがえます。
自社のポリシーや文化の浸透が困難
コールセンター代行の活用により、自社のポリシーや文化が浸透しづらいという課題もあります。
「この案件はこう対応してほしかった」など、自社のポリシーや文化に反する顧客対応が生まれてしまうのも、コールセンター代行を利用するうえで発生しうる問題です。
しかし、アウトソーサーに依頼してはじめて得られる知見も数多くあるのは事実ですので、クライアント企業とアウトソーサーそれぞれの良い点をミックスした運用が最も適しているといえるでしょう。
ランニングコストがかかる
コールセンター代行を活用するには、月々のランニングコストがかかります。
もちろん、ランニングコストの金額はコールセンターの規模やコール件数によって変わってくるため一概にはいえません。とはいえ、自社でコールセンターを開設するより初期コストを抑えられるというメリットもあります。
ランニングコストと初期費用どちらを重視するか検討したうえで、自社に適した方法を選ぶ必要があるでしょう。
自社にあった運用体制を
コールセンター代行は、自社の工数を削減できるメリットはあります。しかし、代行業者は複数の窓口を請け負っているところも多くあります。
そのため、製品についての詳しい情報やクレーム対応時に判断できる権限がないと、顧客満足度を下げてしまうことにもなりかねません。
まずは自社で対応してみて、それでも対応しきれない場合に一部の業務を業者に依頼することから検討してみてはいかがでしょうか。
参考:事前にチェック!コールセンター業務を委託する際の7つの注意点
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≪参考書籍≫
- 「コールセンター白書2021」
月刊コールセンタージャパン編集部/株式会社リックテレコム/2021.10.26