こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービスに対して感じる”信頼”や”愛着”のことです。企業のファンを獲得し、業績を向上させるために注目されている概念ですが、「顧客満足度と何が違うの?」とピンときていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、以下について解説します。
- 顧客ロイヤルティの概要
- 顧客ロイヤルティの重要性
- 顧客ロイヤルティとカスタマーサポートの関係性
- 顧客ロイヤルティの指標
- 顧客ロイヤルティを向上するための3ステップ
コールセンターとも関わりが深い概念なので、ぜひ最後までチェックしてください。
顧客ロイヤルティとは
冒頭でもお伝えした通り、顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービスに対して感じる”信頼”や”愛着”のことです。
顧客が企業を信頼し、商材を継続的に購入・利用してくれる状態を「顧客ロイヤルティが高い」と言い、このような顧客のことを「ロイヤルカスタマー」と呼びます。つまり、企業の”ファン”と言える存在です。
多くの類似商品があふれている現代において、自社の商品を選んでもらうためにはロイヤルティの高い顧客を獲得することが効果的だと言われています。
「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」の違い
「顧客ロイヤルティ」と「顧客ロイヤリティ」という言葉を目にしますが、意味に違いはあるのでしょうか?
結論から言うと、明確な違いはなく、どちらを使ってもOKです。
厳密に言えば、以下のとおり語源に違いはあります。
- ロイヤルティ
英語の「Loyalty」からきている。意味は、忠実、忠誠、忠節、義理など。 - ロイヤリティ
英語の「Royalty」からきている。意味は、特許権使用料、著作権使用料、王位、王権など。
元になった英語を考慮すれば、「顧客ロイヤルティ」の方が適切と言えるでしょう。
しかし、「Royalty」の英語の発音は「ロイヤルティ」の方が近く、文化庁などから示されたカタカナの使い分けの定義もありません。
そのため、「顧客ロイヤリティ」という表記も誤りではありません。
また、「ロイヤルティ」「ロイヤリティ」だけしか記載がない場合は、前後の文章から意味を汲み取るようにしましょう。
「顧客満足度」との違い
顧客ロイヤルティと混同されやすい言葉として、「顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)」があります。顧客満足度とは、言葉の通り、購入した商品やサービスに対して顧客がどれだけ満足したかを示す指標です。
顧客ロイヤルティを計測する際に、顧客満足度の数値を使用することはありますが、この2つの概念は決してイコールではありません。なぜなら、いくら一回の購入行動に対する顧客満足度が高くても、ロイヤルカスタマーになるとは限らないからです。一時的な満足で終わり、別の商品・サービスへ流れてしまう可能性は大いにあります。
一方、顧客ロイヤルティが高ければ、継続して購入してくれるのに加え、関連商品も購入してくれたり、クチコミで周囲の人に広めてくれたりします。
そのため近年では、商材への顧客満足度だけではなく、企業やブランドに対する強い結びつきを表す顧客ロイヤルティが重視されているのです。
顧客ロイヤルティの重要性
顧客ロイヤルティが重要視される理由は、ロイヤルティを高めることで以下4つの効果があるからです。
- リピート率の向上
- 解約率の低下
- 顧客単価の増加
- クチコミ効果の向上
リピート率の向上
顧客ロイヤルティが上がると、商材のリピート率も高まります。消耗品の場合は同じ商品を、服飾品や家電製品の場合は同じブランドの製品を繰り返し購入します。
マーケティング用語の「1:5の法則」では、新規顧客の獲得は既存顧客への販売に対して5倍のコストがかかると言われています。コストを抑えて利益を上げるためには、顧客ロイヤルティを上げて既存客に継続購入してもらうことが効果的なのです。
解約率の低下
顧客ロイヤルティが上がりリピーターが増えれば、解約率も下がります。
近年ではサブスクリプションモデルのビジネスが増え、解約率(チャーンレート)の低下は企業の利益に大きく関わっています。
マーケティング用語の「5:25の法則」では、解約率を5%下げれば、利益は25%改善すると言われています。利益率を向上させるには、顧客ロイヤルティを上げ、自社から離反する確率を下げる必要があるのです。
顧客単価の増加
ある調査では、某アパレルブランドの年間平均購入金額は、顧客ロイヤルティが高い程大きいという結果がでています。また、1回あたりの購買金額も、ロイヤルティが高い顧客は、低い顧客の1.3倍でした。
つまり、顧客ロイヤルティを高めることで顧客一人あたりの単価を増やすことができるのです。
クチコミ効果の向上
ロイヤルティが高い顧客は、他者に対して商品やブランドを推奨してくれます。SNSで情報を発信したり、購入を迷っている人に対しおすすめの商品として紹介してくれたりするのです。
先述の「1:5の法則」のように、新規顧客の獲得は既存顧客への販売に対して5倍のコストがかかると言われています。しかし、ロイヤルカスタマーの好意的なクチコミによって評判が広がれば、少ないコストで新規顧客を得ることも期待できます。
顧客ロイヤルティとカスタマーサポートの関係性
株式会社ポンテムが2021年1月にスマホゲームユーザー2,317人に対して行った調査によると、カスタマーサポートの対応に対する満足度と顧客ロイヤルティには関係性があると言えます。
顧客ロイヤルティとカスタマーサポートの関係性調査を実施~顧客ロイヤルティの向上には、カスタマーサポートへの投資が重要~|株式会社ポンテムのプレスリリース
上図の通り、カスタマーサポートへの問い合わせ経験がある人で、その対応に「非常に満足」した顧客のうち「推奨者」の割合は26.6%。対して、「非常に不満」だった顧客の中で「批判者」の割合は66.7%にも上っています。
つまり、カスタマーサポートの対応に満足して推奨者になる可能性よりも、不満を抱いて批判者になる可能性の方が高いと言えるでしょう。
コールセンター業務に関わる人なら誰しもが、コールセンターが顧客ロイヤルティに与える影響が大きいことを理解しておく必要があります。その上で、以下のように顧客ロイヤルティを下げる要因になる対応を行わないよう注意しましょう。
・顧客をたらい回しにする
・オペレーターの知識不足により適切な回答ができない
・他部署との連携不足などで顧客を必要以上に待たせる
・顧客に何度も同じことを説明させる
顧客ロイヤルティの指標
何をもって顧客ロイヤルティを測定するかは、企業によって異なります。
定量化できる以下のような要素を元に、自社商材に合った指標を定めましょう。
・購入/利用頻度
・リピート率
・利用時間
・契約期間
・好意的なクチコミの投稿数
・再利用意向
・感動指数
指標を定めた後は、一定期間ごとに測定し、顧客ロイヤルティを向上するためのアクションを行うことが重要です。
LTV(ライフタイムバリュー)は指標に適さない
ロイヤルティの高い顧客は単価が高くなる傾向があるため、「LTV(ライフタイムバリュー)」も指標になると考えるかもしれませんが、単価だけで顧客ロイヤルティを適切に測ることはできません。
なぜなら、顧客単価が高くても、一度きりの購入で終わった場合、顧客ロイヤルティが高いとは言えないからです。
また、LTVは短期間での計測が難しく、顧客ロイヤルティ向上のためのPDCAが回しにくいというデメリットもあります。
このように、LTVだけを顧客ロイヤルティの指標にするのは適切ではありません。定期的に効果検証ができる指標を利用するようにしましょう。
おすすめの指標はNPS®(Net Promoter Score)
近年、顧客ロイヤルティの指標として用いられることが多いのが、「NPS®(Net Promoter Score)」です。
NPS®とは、"商品やサービスに対する推奨者の比率"によって顧客ロイヤルティを測る手法です。顧客に対して「0~10点で表すとして、この商品(あるいは、サービス、ブランド、企業など)を親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」と質問し、その点数を元に顧客を3つのグループに分類します。
上図の通り、3つのグループとは、批判者、中立者、推奨者で構成されています。
- 批判者
点数が0~6。商材や企業に対して不満を抱く顧客。放置しておくと悪評を広める恐れもあります。 - 中立者
点数が7~8。不満はありませんが、熱狂的でもありません。競合他社に流れやすい層です。 - 推奨者
点数が9~10。ロイヤルティが高く熱心な顧客。自らが継続購入客であるだけでなく、他者へ良い評判を広めてくれます。
NPS®はApple、Amazon、Google、Facebookなど、顧客志向を重視する企業で採用されており、日本でも導入が広がっています。業績との相関も認められているため、NPS®をKPIにする企業も増えています。
参考:コールセンターにおけるNPS®の重要性と実施する際に注意すべきポイント
顧客ロイヤルティを向上するための3ステップ
顧客ロイヤルティを向上させるために必要なのは、以下の3ステップです。
- 顧客ロイヤルティを数値化し、現状把握
- KPIを設定
- 顧客ロイヤルティを向上させる施策の実行
以下で詳しく説明します。
顧客ロイヤルティを数値化し、現状把握
顧客ロイヤルティの計測指標に採用する数値を中心に、顧客データを収集して分析しましょう。
分析の際には、以下のようなポイントに着目します。
・顧客ロイヤルティの分布
・ロイヤルティが高い/低い顧客の傾向(性別や年代、商材、購入経路など)
・顧客が抱く不満
・ロイヤルティを向上させた顧客体験
KPIを設定
次に、顧客ロイヤルティ向上のKPIを設定しましょう。
現状把握の段階で分かった課題やターゲット層についてアプローチする戦略もこの段階で立てておきます。
顧客ロイヤルティを向上させる施策の実行
顧客ロイヤルティを向上させるためのアクションをとります。
顧客ロイヤルティを高めるには、より良い顧客体験を提供する必要があります。商品の改善やユーザーインターフェイス(UI)の改善はもちろん、企業の顔であるコールセンターが担う役割も大きいです。
施策を実行したら、また最初の「顧客ロイヤルティを数値化し、現状把握」に戻り、サイクルを回しましょう。
まとめ
顧客ロイヤルティについて理解が深まり、改善のための手がかりが掴めたのではないでしょうか。
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービスに対して感じる”信頼”や”愛着”のこと
- 「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」に明確な違いはない
- 顧客満足度が高くても、顧客ロイヤルティが高いとは限らない
- 顧客ロイヤルティを高めることで得られる効果は、以下4つ
・リピート率の向上
・解約率の低下
・顧客単価の増加
・クチコミ効果の向上 - カスタマーサポートの対応の満足度と顧客ロイヤルティには関係性がある
- おすすめの顧客ロイヤルティの指標は、NPS
- 顧客ロイヤルティを向上させる3ステップ
1. 顧客ロイヤルティを数値化し、現状把握
2. KPIを設定
3. 顧客ロイヤルティを向上させる施策の実行
顧客との接点であるコールセンターだからこそ、顧客ロイヤルティ向上のけん引役になることができます。ぜひ顧客の声に耳を傾け、自社への”信頼”を勝ち取ってください。
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