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2022.11.08
コールセンターにおけるNPS®の重要性と実施する際に注意すべきポイント

こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。

コールセンターで顧客からの評価を調査する方法として少しずつ活用が広がっているNPS®。コールセンター以外にも多くの企業が取り入れており、自社のサービス向上などに役立てています。

そこで今回は、NPS®の概要を説明しつつ、顧客満足度との違いやコールセンターの現場における実施状況などについて解説します。

NPS®調査を通じて得られるメリットや、現場の担当者はどのように調査結果を活用すべきかもあわせてご紹介しますので、ぜひこの機会にしっかりと認識しておいてください。

NPS®とは?

NPS®とはNet Promoter Score®(ネット・プロモーター・スコア)の略であり、自社や担当者に対する顧客ロイヤルティ(安心感や信頼感を抱いているか)を計る指標のことです。

2003年にアメリカのコンサルティング会社に勤める、フレデリック・F・ライクヘルド氏が発表しました。現在では欧米を中心に広く活用される指標となっており、日本でも少しずつNPS®調査を実施する企業が増えています。

NPS®の調査方法は極めて簡単で、顧客に対し「この製品・サービスを友人に薦めますか?」という質問を投げかけ、0~10の数字から評価してもらう仕組みです。

その結果から「10~9:推奨する立場(プロモーター)」「8~7:推奨も批判もしない立場」「6~0:批判的な立場」に分類し、その割合を集計することで企業や担当者に対する顧客ロイヤルティを計測します。

たとえば、10人(100%)の顧客から回答を得たとします。その割合が「プロモーター:3(30%)」「中立:2(20%)」「批判的立場:5(50%)」だとすると、導き出されるNPS®は以下の計算式で求められます。

≪計算式≫

30%(プロモーター)- 50%(批判的立場)=-20(NPS®)

※中立の立場である20%は他人に商品やサービスを薦めることもなければ悪口を言うこともないため、NPS®の算出には不要です。

NPS®の数値は顧客ロイヤルティが高いほどプラスに、低いほどマイナスになり、潜在的な顧客のロイヤルティが把握できる指標として、企業の売り上げとの連動制が高いといわれています。

NPS®には2つの種類がある

NPS®には「リレーションシップ NPS®」と「トランザクションNPS®」の2種類があり、コールセンターなどの「サポート担当者に対して顧客がどう感じたか」などはトランザクションNPS®で調査可能です。

リレーションシップNPS®

企業やブランド全体に対する顧客ロイヤルティを調査する方法

競合他社との比較による自社の強みや弱みを把握できる

トランザクションNPS®

店舗単体や担当者などを対象とした、より具体的な項目について調査する方法

コールセンターであれば、顧客対応時の課題をより具体的に可視化できる

NPS®と顧客満足度の違い

顧客ロイヤルティを分析する際の指標としてNPS®と混同されがちなのが「顧客満足度」です。どちらも顧客が企業や商品・サービスに対して満足しているかを計る指標ではあるものの、NPS®はより企業の収益性と高い相関関係を持っています。

顧客満足度調査はあくまでその時点での満足度を計るものです。そのことから、とくに強い不満がなければ「満足」と回答する顧客が多くなります。

その一方、NPS®調査はより具体的に「この製品・サービスを友人に薦めますか?」と踏み込んだ質問をすることで、顧客が今後取るであろう行動を鮮明に把握できます。そのため、中長期的な企業の業績を考えるうえで重要な指標になるといわれています。

参考:顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違いや改善の取り組みを解説

コールセンターの現場におけるNPS®の実施状況

NPS®調査を実施する企業が多くなっていますが、コールセンターの現場における認識はどうなっているのでしょうか。

『コールセンター白書2021』によると、NPS®の実施状況を聞いたアンケート結果はつぎのとおりです。

・出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2021』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.26/P86

「定期的に実施している」「不定期に実施している」とする回答が全体の3割ほどなのに対し、「実施したことはない」という回答が51%と半数以上を占める結果になりました。

コールセンターの設立目的としてあげられる「顧客満足度の向上」を果たすうえで顧客ロイヤルティの把握は最重要事項であるはずですが、現時点ではまだまだNPS®に対する認識は薄いといわざるを得ません。

NPS®の向上により得られるメリット

ここまでNPS®の重要性を解説してきましたが、実際にNPS®の数値を向上させることで得られるメリットとはどのようなものでしょうか。いくつか代表的なものをご紹介します。

口コミよる商品やサービスの情報拡散

NPS®調査における支持者であるプロモーターは、様々なかたちで商品やサービスの情報を拡散してくれます。

口コミによる評価は新たな顧客獲得に有効なだけでなく、第三者による評価として商品やサービスに対する信頼性を高める効果も期待できます。

顧客単価の向上

顧客ロイヤルティの高さは顧客単価にも影響します。

たとえば、現在のサービスよりひとつうえのグレードを試す(購入する)「アップセル」、現在の商品と関連のある商品を購入する「クロスセル」などがあります。

顧客は企業や商品・サービスに対する信頼度が高いほど新しいものを試してみようと考えるものです。その結果として、顧客単価が向上し企業の収益性もあわせて高くなっていきます。

解約率が下がる

顧客が商品やサービスを愛用するようになると、解約率や他社への乗り換え率が大幅に減少します。

継続的に利用してくれるリピーターになってくれれば安定した収益も見込めますので、企業がさらに成長するうえでとても重要な役割があります。

NPS®調査の結果をどう活用したらいいのか

NPS®調査の結果をうまく活用するうえで大切なのが、分析です。NPS®の分析には「定性分析」と「定量分析」があり、これらを組み合わせることでより正確な顧客ロイヤルティを導き出すことができます。

定性分析

定性分析は数字であらわすことのできない情報を収集し分析する手法です。

NPS®調査の際、0~10段階評価とは別に「そのような評価をした理由はなぜですか?」というコメント欄を設けることで、顧客の抱く感情をくみ取ることができます。

集まったコメントをさらに「プロモーター」と「批判者」に分類し、それぞれがどのようなニュアンスを持っているか分析することで、企業が抱える課題がみえてきます。

定量分析

定量分析はある事柄を数値化して分析・評価する手法です。

ただし、コールセンターにおいて定量分析をNPS®調査だけで行うには数値的データが乏しいことから、以下のような質問でさらに満足度調査を実施する必要があります。

・カスタマーサポートは充実しているか

・自身にあった提案をしてくれるか

・アフターフォロー体制はどうか

・商品やサービスに魅力的な機能が搭載されているか など

NPS®調査で判明した数値と、これらの満足度に関するアンケ―トの数値を相関的に分析することで、改善すべきポイントをより鮮明に可視化できます。

NPS®を実施する際に注意すべきポイントとは?

NPS®を実施する際に注意しなければならないポイントは、「日本ではマイナス平均になりやすい」「定期的な計測が必要」という2点です。

日本ではマイナス平均になりやすい

欧米などの他国と比べ日本では顧客ロイヤルティの数値が低くなる傾向にあります。

その理由として、日本人の国民性である「中心化傾向」が関係していると考えられています。中心化傾向とは、極端な回答を避け当たり障りのない中間にあたる回答をしがちというものです。

NPS®調査における回答でも0~10の中央値である6を選ぶ顧客が多くなります。この点を踏まえ、顧客満足度調査などほかの指標と組み合わせながら、正確な顧客ロイヤルティの把握に努める必要があります。

定期的な計測が必要

NPS®調査は一度実施しただけでは意味がありません。定期的に計測することで、正確かつリアルな顧客の意見を聴取できます。

何度もNPS®調査をすることにより、中心化傾向にあった顧客もより詳細な自身の気持ちを回答してくれるようになるため、定期的な計測はとても大切な作業です。

NPS®は継続的な実施と分析がとても重要である

NPS®は、顧客満足度調査と似て非なる顧客ロイヤルティを計測する指標です。

コールセンターの現場における認知度や浸透率はまだまだですが、「顧客満足度の向上」を目指す以上、今後さらに注目されることは間違いないでしょう。

NPS®調査の継続的な実施と適切な分析や業務改善を行い、より顧客に満足してもらえるコールセンターを目指しましょう。

関連記事:「CES(カスタマー・エフォート・スコア)」とは?算出方法や改善のポイントをご紹介

≪参考文献≫

  • 「コールセンター白書2021」

月刊コールセンタージャパン編集部/株式会社リックテレコム/2021.10.26

  • 「図解でわかる コンタクトセンターの作り方・運用の仕方」

(著)有山裕孝・仲江洋美・市瀬眞/株式会社日本実業出版/2021.3.1

株式会社fonfun fonfunは「テクノロジーで社会をもっとスマートに」をミッションとして、技術の力でより効率的で合理的な社会の実現を目指しています。
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