こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
コールセンターで最近注目されている指標の1つに、CES(カスタマー・エフォート・スコア)があります。顧客満足度を改善するためにも重要な指標ですから、指標の意味はぜひ知っておきたいものです。算出方法についても、よく理解しておく必要があります。
本記事では、NPS®︎(ネット・プロモーター・スコア)との相違点やCES改善のポイントについて解説していきます。
CESとはなにか
CESとは顧客努力指標とも呼ばれており、顧客満足度や顧客体験(CX)の観点で重要な指標の一つです。
CESはサービス等の利用にあたり、顧客が努力を要した割合を示す指標
CESとはサービス等を利用する際に、顧客が努力を要した割合を示す指標です。その値は以下の手順で求められます。
- 「全く努力せずに済んだ」から「大変な努力を要した」まで7段階のランクを用意し、顧客に回答してもらう
- TOP2となる「全く努力せずに済んだ」「努力せずに済んだ」と回答した割合を求める
- BOTTOM3となる「やや努力した」「努力した」「大変な努力を要した」と回答した割合を求める
- TOP2の割合から、BOTTOM3の割合を引く
最高は100、最低はマイナス100となります。CESはスコアが高いほど望ましい指標となり、スムーズなサービスが提供できているといえます。一方で数字が0に近い場合やマイナスになっている場合は、顧客に不便を強いている可能性が高いです。
なおランク付けには、以下の2通りがあります。
状態 | パターン1 | パターン2 |
---|---|---|
全く努力せずに済んだ | 7 | 1 |
努力せずに済んだ | 6 | 2 |
あまり努力せずに済んだ | 5 | 3 |
どちらともいえない | 4 | 4 |
やや努力した | 3 | 5 |
努力した | 2 | 6 |
大変な努力を要した | 1 | 7 |
どちらの場合でも、CESの算出方法は変わりません。
CESの具体的な求め方
CESはどのような方法で求めるのでしょうか。ここではあるサービスに関するアンケートで、以下の回答が得られた場合を考えます。回答数の合計は100件です。
状態 | ランク | 回答数 |
---|---|---|
全く努力せずに済んだ | 7 | 16 |
努力せずに済んだ | 6 | 7 |
あまり努力せずに済んだ | 5 | 3 |
どちらともいえない | 4 | 11 |
やや努力した | 3 | 22 |
努力した | 2 | 24 |
大変な努力を要した | 1 | 17 |
TOP2とBOTTOM3の割合は、それぞれ以下の通りとなります。
- TOP2:23%
- BOTTOM3:63%
CESはTOP2からBOTTOM3を差し引いた数値ですから、マイナス40となります。早急な改善が必要です。
例に挙げた分布となる一例として、「慣れてしまえば簡単だが、習得するまでが大変」なサービスが挙げられます。このようなサービスは新規の利用者を獲得しにくいため、CESの改善が急務といえるでしょう。
NPS®︎との相違点
CESとNPS®︎は、以下の通り異なる指標です。両方とも、高いほど良いといえます。
指標 | 概要 | 説明 |
---|---|---|
CES | 顧客の不満 | サービスの利用時に、顧客が努力した指標。高いほど労力がかからなかったことを示す |
NPS®︎ | 顧客が持つ愛着や信頼、顧客ロイヤルティ | サービスを他の方に勧めたい割合。高いほど良い |
CESが高いからといって、NPS®︎も自動的に高くなるとは限りません。しかし、CESが高ければサービスを楽に使えているわけですから、NPS®︎を上げる1つの有力な要因となります。逆にCESが低い場合はよほど良質なサービスでない限り、NPS®︎はなかなか上がりにくいものです。
参考:コールセンターにおけるNPS®の重要性と実施する際に注意すべきポイント
コールセンターにおいて、CESが重要となる理由
CESはコールセンターにおいて、重要な指標の1つです。それは、以下の理由によります。
- CESは、リテンション率(顧客を維持できる割合)との関連性が高い
- CESが高い場合は手軽に使えるサービスということを示すため、顧客満足度のアップにつながりやすい
- CESが低いと、顧客満足度の低下や顧客体験の悪化につながる
CESが低いと契約更新時に他社に乗り換えられるなど、顧客の離脱につながりかねません。新規の顧客を獲得するためには、既存顧客を守る場合と比べて5倍の労力が必要です。既存顧客を守れなければ事業の衰退につながりますから、CESは重要です。
CESが上下する要因を考える
CESは、できれば高いほうが良いものです。一方で、その数値は常に変動します。ここからはCESを上げ下げする要因を考えます。
CESが上がる要因
CESが上がる要因には、以下の5点が挙げられます。
- 問い合わせしやすい工夫がされている
- 迅速な回答を実施。フォームで問い合わせを受けた場合でも、多くは24時間以内で回答されている
- チュートリアルやオンボーディングなど、スムーズに使い始められるよう工夫されている
- 顧客の立場で必要な情報をすぐに見つけられるよう、マニュアルが工夫されている
- FAQが充実。顧客が問い合わせしたい内容の多くが自己解決可能
顧客のやりたいことや目的をスムーズに実現できるように作られているサービスは、CESも高くなりやすいといえます。
CESが下がってしまう要因
一方でCESが下がってしまう要因には、さまざまなものがあります。代表的な要因を以下に挙げました。
- 使い方や操作方法が複雑、またはわかりにくい
- 必要な操作が多い
- 問い合わせ方法がわかりにくい
- 電話がつながりにくく、待ち時間も長い。フォームやメールで問い合わせてもなかなか回答が得られない
- 公開されている情報や回答内容に誤りがある。または質問の意図に沿った回答が得られない
- 説明を受けても専門用語が多く、理解が難しい
いずれも、顧客は「やりたいことがなかなかできない」というストレスを感じるものです。上記のような要因が1つでもあると、CESが大きく下がってしまう可能性があるため注意しなければなりません。
CESを改善する4つのポイント
CESを改善し、顧客に対して良い印象を与え続けたいものです。ここからは4つのポイントを取り上げ、CESを改善する方法を考えていきます。
サポート窓口に簡単にアクセスできるよう、案内を工夫する
顧客に安心感を与えるポイントの1つに、わからないことがあればすぐに確認できるようになっていることが挙げられます。問い合わせ先をわかりやすく表示し、簡単な方法で問い合わせできるよう工夫することが重要です。
例えば、Webサイト上の気づきやすい場所に電話番号を表示し、目立つフォントや色、デザインなどを活用することも効果的です。
迅速かつ確実なサポートを提供する
せっかくサポート窓口にアクセスしようとしても、電話がつながらなかったり、回答がなかなか来なかったりすると不満や苦情につながります。サポート窓口は開設していればよいのではなく、迅速かつ確実なサポートを提供することが重要です。以下の指標に着目するとよいでしょう。
指標 | 望ましい方向 | 備考 |
---|---|---|
応答率 | 90%以上が目安 | 緊急対応を行う窓口の場合は95~97%以上 |
サービスレベル | 高いほど良い。「80%の入電は20秒以内に対応」とするコールセンターが多い | |
平均応答速度 | 20秒以内が目安 | |
稼働率 | 80~85%が適正 | 90%以上の場合は、入電の取りこぼしがあると考えられる |
一次解決率 | 高いほど良い | 何がなんでも1回の通話で完結させないよう注意が必要 |
これは電話だけでなく、フォームを使った問い合わせでも同様です。PR TIMESは2018年7月に、以下の調査結果を公表しています。
- 回答を待てる限界は、24時間以内
- 1時間以内の回答で、半数の方が「早い」と感じる
参考:カスタマーサポートにおける応答時間の目安と短縮方法を解説
もちろん、確実な情報提供も欠かせません。どのような方法でも、迅速かつ確実なサポートの提供が重要です。
FAQなどのコンテンツを充実させ、自己解決を容易にする
顧客が自ら解決できるコンテンツを充実させることも重要です。なぜなら、公開されている情報で自己解決できれば、わざわざコールセンターに問い合わせしなくて済むからです。
問い合わせの件数が減少すれば、人員を増やさなくても応答率が改善し、稼働率を下げることができます。コールセンターの評判もアップすることでしょう。そのためには、FAQを充実させる必要があります。
コンテンツ作成の際には、顧客目線に立つことが重要です。もし「聞きたいことが書いていない」場合は問い合わせ件数を下げられず、かえって不満につながりかねません。
顧客の声を分析する
CESを上げるためにはコールセンターを通じた対応だけでなく、以下に挙げる顧客の声の分析も重要です。
- アンケート
- SNSへの書き込み内容
- 会話内容の分析
例えば、コールセンターに電話があまりかかってこないからといって、サービスに満足しているとは限りません。SNSなどに「X社のコールセンターに電話しても、役に立たない」などという書き込みが大量に行われている可能性もあります。このような場合は、顧客が強烈な不満を抱えていることを表すため、迅速に改善することが求められます。
CESを分析し、顧客に寄り添ったサービスの実現を
CESが低いことは、顧客に対して使いにくさを感じさせてしまっていることを示します。このままの状態を継続する限り、いくら抜きんでたサービスを提供していても、なかなか顧客満足度は上昇しません。シェアもアップしにくいことでしょう。
顧客が使いやすいサービスを提供することは、顧客満足度の向上とシェアのアップにつながります。CESを分析し、顧客に寄り添ったサービスを実現しましょう。
「CallConnect」は、サポートやインサイドセールスに最適なコールセンターシステムです。 顧客情報やこれまでの対応履歴を確認でき、スムーズな電話対応を実現します。
「電話対応を改善して、顧客満足度を上げたい。」という方は、ぜひ無料トライアルをお試しください。
参考:
PR TIMES「CES(カスタマーエフォートスコア)とは?重要性と改善するための3つの方法」
PR TIMES「【「お問い合わせ」調査】お問い合わせ回答時間、我慢の限界は「24時間以内」70.5%、顧客満足度向上のカギは回答まで「1時間以内」」
イプソス「コールセンターの顧客体験に関する調査の結果を公表」
イプソス「第2回クレジットカード会社コールセンターの 顧客体験調査の結果を発表」
Syno Japan「カスタマーエフォートスコア(CES:顧客努力指標)とは?効果的に活用する方法を解説」
日経リサーチ「よりよい顧客体験(CX)のためにすべきことは?~CESで改善点を探る~」
OKIソフトウェア「コラム:コールセンター運営のポイント 第92回:コールセンターの品質を測る3つの指標の考え方と調査方法」
ベイン・アンド・カンパニー「ベインが開発したNPS®︎ (ネット・プロモーター・スコア)とは?」
リックテレコム「KPIで現状把握しよう」
OKIソフトウェア「コラム:コールセンター運営のポイント 第87回:従来の指標は使えない?チャット対応のためのKPI設定方法」
ウィルオブ・ワーク「コールセンターのKPIをわかりやすく解説!!(インバウンド/初級編)」
ベルシステム24「一次解決率」