インターネットを経由して音声情報を送信する「VoIP」の技術は、近年様々なサービスで活用されています。
コールセンター業界にもVoIPを使ったIP電話が浸透していますが、「そもそもVoIPって何なのかピンとこない…」という方も多いはずです。
そこで本記事では、VoIPの概要やIP電話との違い、音声通話を実現する仕組みなどについて詳しく解説していきます。
VoIPとは
冒頭でもお伝えしたとおり、VoIP(Voice over Internet Protocol)とは、インターネットを介して音声を送信する通信技術のことです。
音声信号をパケット(小さなデータのまとまり)に変換し、インターネット回線であるIPネットワークを経由して相手方に送信。パケットを再び音声信号に復元することで音声通話を実現します。つまり既存の電話網に依存せずとも、インターネットにつながる環境であれば音声通話ができるのです。
VoIPの技術は企業のIP電話や内線に限らず、LINEやSkypeといった通話アプリ、WEB会議、ボイスチャット、動画ファイルの共有などに応用されています。
コールセンターにおいても、アプリやビジュアルIVRなどからオペレーターにつながるような、より利便性の高いサービスが提供できるようになりました。
Internet Protocol(インターネット・プロトコル)とは、インターネット上でデータ通信を行うにあたっての”ルール”を意味します。
つまりVoIPは、IPに従って音声データをやり取りする技術ということです。
IP電話とは
IP電話とは、VoIPの技術を搭載した電話システム。
より平たく言うと、インターネット回線(IPネットワーク)を利用して通話する電話のことです。
つまり、VoIPは「通信技術そのもの」を意味するのに対し、IP電話は「VoIPを利用した電話システム」を意味します。
IP電話というと、固定電話機にインターネット回線を繋いだハードウェアタイプを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし近年では、ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイルデバイスにアプリをインストールし、IP電話機代わりに使うソフトウェアタイプが広く普及しています。
IP電話についてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をチェックしてください。
▶IP電話とは?アナログ/クラウド電話との違いや、メリット・デメリットを解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)
VoIPの構成要素
VoIPについてより深く理解するために、その仕組みを知っておきましょう。
まず初めに押さえておきたいのは、VoIPを実現するのに必要な以下3つの構成要素です。
- 端末
- サーバー
- IPネットワーク(IP網)
端末
VoIPにおける端末とは、ソフトフォンやIP電話機、VoIPゲートウェイなどを指します。
端末の機能は、IPネットワーク網へ接続するためのインタフェースとなり、音声信号をパケットへ変換することです。
ソフトフォンやIP電話機は、ルーターやスイッチを介してIPネットワークに直接接続します。
一方VoIPゲートウェイは、アナログ電話端末や公衆電話網などをIPネットワークに接続するための変換装置です。
サーバー
サーバーには、端末および通信に関する運用を効率良く行う機能があります。
SIPサーバーやIP-PBX、クラウドPBXといった種類があり、それぞれの概要は以下のとおりです。
-
SIPサーバー
サーバに電話機能を追加したもの。
端末の電話番号やIPアドレスなどの記録・検索や、IP電話で使うデータを管理し、発信者と通話先との発呼情報の仲介を行う -
IP-PBX
発着信の制御・ 保留・転送・録音など、コールセンターには不可欠な機能をもつPBX(電話交換機)をIP対応させたもの。
ハードウェア型とソフトウェア型の2種類がある -
クラウドPBX
クラウド上に設置されたPBX。基本的に物理的な装置は不要
IP-PBX自体に電話交換の機能があるため、SIPサーバーを用いなくても電話自体は可能です。しかしIP-PBXにSIPを用いることで、IPアドレスではなく電話番号の情報での発着信が容易になるという利点があります。
尚、クラウド上で管理・運用できる「クラウドPBX」を使用する通話システムは、まとめて「クラウド電話」と呼ばれます。クラウド電話について詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
▶クラウド電話とは?メリット・デメリットや適した企業を解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)
IPネットワーク(IP網)
IP(インターネットプロトコル)に従い、データの送受信を行うコンピュータネットワークの一種。「IPパケット」を使用してデータを送受信します。
複数のネットワークを相互に通信できるため、コールセンターに限らず、家庭用のLANや通信事業者のネットワークなどに広く利用されています。
VoIPの仕組み
VoIPの3つの構成要素は、下図のように組み立てられます。
<VoIPシステムの構成例>
SIPサーバーを使用した場合の流れは、以下のとおりです。
①端末が起動すると、電話番号・IPアドレスの情報がSIPサーバーに送信される
②データを受け取ったSIPサーバーは、端末の情報をデータベースに保管
③端末から通話相手を選択し、発信
④SIPサーバーがデータベースに保管した電話番号・IPアドレスを元に相手の端末を特定。電話を取り次ぐ
⑤端末同士がIPネットワークを介して通話。
”音声信号のパケット化”と”パケットの音声信号への復元”を繰り返し、音声通話が成立する
コールセンターのVoIP導入方法
コールセンターでVoIPを導入するには、以下の2つの方法があります。
- VoIPアプリを利用する
- IP電話機やVoIPゲートウェイを利用する
VoIPアプリを利用する
最も手軽なのが、VoIPアプリの利用です。
パソコンやスマートフォンにアプリをインストールするだけで利用が可能。通話だけでなく、テキストや画像の送受信、録音、音声データのテキスト化など様々な機能がついています。
また、近年主流となってきたのが、クラウドPBXを利用したアプリケーション。
物理的な装置がいらないので、基本的に工事は不要。コストを抑え短期間でコールセンターを立ち上げることができ、注目を集めています。
アプリを選ぶ際には、使用できる電話番号や音声品質をあらかじめチェックするようにしましょう。
IP電話機やVoIPゲートウェイを利用する
固定ネット回線の有線LANケーブルを接続して使う置き型のIP電話機や、VoIPゲートウェイを利用する方法もあります。
VoIPゲートウェイとは、アナログ回線を利用した従来の電話機をIPネットワークに接続するための変換装置。そのため、「使い慣れたアナログ電話機を使用したい」「IP電話へ段階的に移行し、コストを分散させたい」といった要望をもつコールセンターには、VoIPゲートウェイの導入が適しています。
まとめ
VoIPについて理解が深まったでしょうか?
導入を検討している方は、以下の記事でVoIPを使ったIP電話のメリット・デメリットも確認しておきましょう。
▶IP電話とは?アナログ/クラウド電話との違いや、メリット・デメリットを解説 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)
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