すでに私たちの生活に浸透しているIP電話。
総務省が2021年に行った調べによると、全固定電話のうち69.3%をIP電話が占めています。
<固定電話の加入契約者数の推移>
参考:総務省|令和4年版 情報通信白書|データ集(第3章第2節)
コールセンターでも利用が広がっているため、「改めてIP電話について理解しておきたい」と思う管理者の方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、IP電話の概要とアナログ/クラウド電話との違い、メリット・デメリットなどについて解説します。最後まで読めば、IP電話の特徴をしっかり把握できるはずです。
IP電話とは
IP電話とは「IP(インターネット・プロトコル)」と呼ばれる通信方法を利用した通話サービスのことです。VoIP(Voice over Internet Protocol)という技術で音声を符号化、および圧縮してパケットに変換したものを、インターネットを経由してやり取りします。固定電話機以外にも、パソコンで通話するソフトフォンやスマートフォンでも利用可能です。
総務省は、2025年1月までにアナログ電話を廃止し、IP網に完全移行することを予定しています。そのため、コールセンター業界でもIP電話が主力となりつつあるのです。
参考:総務省|電気通信政策の推進|固定電話網の円滑な移行
IP電話の種類
一言にIP電話と言っても、取得できる電話番号によって特徴が異なります。IP電話の種類は、以下の3通りです。
「03」や「06」など市外局番から始まる電話番号。プロバイダ事業者が
提供するのが一般的で、通話品質が高い点が魅力です。
・050型
050から始まる電話番号。0AB-J型よりも通話品質は低いと言われていますが、
手軽に電話番号を取得できるのがメリットです。
・電話番号不要型(インターネット電話)
電話番号がなくても双方に同じアプリを入れれば通話できるサービス。LINEや
Skypeが代表格です。
各種類の特徴を理解し、自社に適したものを選択しましょう。
アナログ電話との違い
アナログ電話とは、NTTが提供するアナログ回線を介した通話サービスです。各地に張り巡らされた電話線を伝って通話するため、インターネット回線を経由するIP電話とは伝達方法が異なります。
ちなみに、「固定電話」=アナログ電話と誤解されがちですが、固定電話が利用する回線の種類は様々です。インターネット回線を使用する固定電話(一定の場所に固定された電話)は、IP電話に分類されるので注意しましょう。
クラウド電話との違い
クラウド電話とは、クラウド上のPBX(電話交換機)を介して通話するシステムです。
IP電話は「通話サービス」であるのに対し、クラウド電話はクラウドPBXを使用した通話システムの総称です。つまり、IP電話であってもクラウドPBXを使用していれば、クラウド電話であると言えます。
コールセンターでIP電話を利用するには、電話交換機として以下いずれかのPBXが必要です。PBXがなければ、顧客からの入電をそれぞれのオペレーターに振り分けたり、電話を転送したりすることができません。
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IP-PBX
IP回線を利用するPBXで、インターネット接続用の既存のLANケーブルに繋いで使用。自社内に物理的装置を設置するハードウェア型と、自社サーバーにインストールするソフトウェア型の2種類がある。 -
クラウドPBX
クラウド上で管理・運用するPBX。物理的な装置を必要としない。
クラウド電話については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
IP電話のメリット
IP電話を利用するメリットは、以下の3点です。
・IT機器との親和性が高い
・長距離でも通話品質が低下しない
コスト削減が期待できる
IP電話の大きなメリットは、アナログ電話と比べてコスト削減が期待できる点です。
アナログ電話には専用の電話機が必要ですが、IP電話は専用の電話機でなくても通話が可能です。これまで使っていたアナログの電話機はもちろん、既存のパソコンやスマートフォンなども利用できるので、端末の購入費用が抑えられます。
加えて、クラウドPBXを使用すれば、物理的なPBX機器の購入費や設置工事費も発生せず、より低コストで導入できます。
IT機器との親和性が高い
IP電話はIT機器との親和性が高く、様々なシステムやアプリケーションと手軽に連携できます。
例えば、パソコンにヘッドセットを繋いで通話するソフトフォンや、電話番号と紐づいた顧客情報を画面上にポップアップで表示したり、自動で音声録音を行ったりといった機能も実現可能です。
長距離でも通話品質が低下しない
アナログ回線と比較すると、IP電話は距離による通話品質のブレが生じません。
アナログ回線の固定電話は電話線で電話局と繋がっており、かかってきた電話を電話局にある交換機が中継して相手側へ音声を届けます。そのため、電話の相手との距離が遠くなるほど通話品質が低下し、通話料金は上がっていくコストパフォーマンスの低さが欠点でした。
一方IP電話は、音声をデジタルデータに変換した上でインターネット回線を経由して相手の元へ送ります。相手の元へ届いた時にデジタルデータを音声に変換する処理を行うため、通話品質が劣化しにくく、通話料金の変動もありません。
IP電話のデメリット
IP電話を利用するデメリットは、以下の3点です。
・停電時には利用できない
・050番号は通話品質が「クラスC」、かつ一部の電話番号に発信できない
通話品質がインターネット環境に左右される
インターネット回線を利用しているIP電話の通話品質は、社内のネット環境に大きく左右されます。ネット環境が不安定だったり低速だったりすると、通話にタイムラグが生じたり、途中で切れたりする恐れがあるため、注意が必要です。
事前に社内のネット環境を見直すのはもちろん、安定した通信環境を提供しているIP電話会社を選択するのも大切です。
停電時には利用できない
IP電話の多くは、停電時には利用できません。
なぜなら電力の供給が止まってしまうと、インターネットに接続する機器(電話機や物理的装置のPBXなど)が動作しなくなるからです。
停電時にも稼働したい場合は、あらかじめ無停止電源装置やクラウドPBXなどの導入を検討しておきましょう。
050番号は通話品質が「クラスC」、かつ一部の電話番号に発信できない
IP電話の電話番号の多くが「050」から始まりますが、これは総務省によって評価された通話品質の3クラスのうち「クラスC」にあたります。
・クラスB:携帯電話並みの通話品質
・クラスC:通話可能品質(050から始まる電話番号)
クラスCの場合、IP電話会社によってはビジネスで使用できるレベルの品質を担保していないケースがあるため、事前にIP電話会社が設定している通話品質の基準をチェックしておきましょう。
また、「050」の番号からは、緊急電話(110、119など)やフリーダイヤル(0120)に発信できません。いざという時には携帯電話を使用するなど、代替手段を考えておきましょう。
まとめ
IP電話について理解が深まったでしょうか?
最近では、IP電話をクラウドのPBXやCTI(電話とコンピューターの機能を統合するシステム)と組み合わせることで、業務の効率化や在宅勤務が実現されています。
「IP電話のメリット」の章でご説明した通り、IP電話はITシステムとの親和性が高いので、コールセンター業務を助けてくれる様々な機能と連携が可能です。現代のビジネス環境に適したツールと言えるのです。
今後新たな電話システムを構築するご予定があれば、ぜひIP電話の活用を検討してみてはいかがでしょう。
「CallConnect」は、クラウド型のIP電話システムです。
050番号や0120と0800のフリーコール、地域番号を移設してIP電話をご利用いただけます。また、大手の電話回線を利用しており、多くの企業で活用されています。「IP電話システムを導入して、効率よく電話をしたい」という方は、無料トライアルをお試しください。