企業活動の”信頼性”が購入の判断基準になっている近年、コンプライアンスの重要度はますます高まっています。
しかし、言葉はよく耳にするものの、「具体的に何をすればいいの?」と疑問を抱いている方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、コールセンターで徹底すべきコンプライアンスについて解説します。
自社ではポイントを押さえられているか、ぜひチェックしながら読んでください。
コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、一言でいうと「法令遵守」。
ビジネスシーンで使用する際には、国が定めた法令に加え、就業規則などの企業規範、モラルや良識といった社会規範といったルール全般をよく守ることを意味します。
近年ではインターネットやSNSの普及により、企業の不正が告発しやすくなりました。
また、2022年6月には「公益通報者保護法」が改正され、安心して事業者の不正を通報できるように通報者の保護が強化されています。
不正行為が明るみに出れば、企業の信頼が損なわれ顧客離れに繋がるだけではありません。刑事事件として立件されたり、厳しい行政処分を受けたりする恐れもあるのです。
こうした背景からコンプライアンスの重要性が高まり、健全な企業活動を行うための大前提となっています。
コールセンターで押さえるべきコンプライアンスのポイント
コールセンターで押さえるべきコンプライアンスのポイントは、以下の3点です。
- 個人情報の保護
- 守秘義務の徹底
- 応対時の発言や言葉遣い
個人情報の保護
コールセンターで最も重視すべきなのが、個人情報の保護です。
個人情報保護法における「個人情報」とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を特定できるものを指します。
(1)特定の個人を識別できるもの
例:氏名、生年月日、住所、電話番号、顔写真など。単体では個人を
識別できなくても、氏名などとの組み合わせで特定の個人を識別できる
ものも該当。
(2)個人の身体のデータ
例:顔認証データ、指紋認証データ、声紋など
(3)個人に割り振られる公的な番号
例:マイナンバー、パスポート番号、運転免許証番号、住民票コードなど
参考:「個人情報保護法」をわかりやすく解説 個人情報の取扱いルールとは? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
コールセンターは業務の性質上、こうした個人情報が詰まったデータベースを日常的に扱うため、十分な注意が必要です。
過去には、ベネッセホールディングスからコールセンター業務を委託されたトランスコスモスの契約社員が顧客情報を不正に持ち出し、経済産業省から報告を求められる事件も発生しています。
個人情報の流出は世間からの信頼を損ねるだけでなく、損害賠償を請求される可能性もある、重たい事案であることを社内全体で認識するようにしましょう。
守秘義務の徹底
個人情報に限らず、業務上で知り得た秘密を守る守秘義務も重要です。
コールセンターで起こり得る守秘義務の違反には、以下のようなケースが考えられます。
・リリース前の情報(組織体制の変更、新規事業、新サービスなど)を口外する
・契約企業や個人の内部情報を他社に話す
・業務内容やクライアント情報をカフェなどの店内で喋ったり、SNSなどに
書き込んだりする
コールセンターの中には、他社のカスタマーサポートや営業活動を代行しているところも少なくありません。そんな中、もし社外秘情報を漏らすようなことがあれば、顧客だけでなく委託元からの仕事が途絶えてしまうことも大いに考えられます。
今の時代、一人のオペレーターの行動で企業全体に大きなダメージを被ることを肝に銘じましょう。
応対時の発言や態度
「企業の顔」であるコールセンターでは、応対時の発言や態度が企業の社会的信頼に直結します。
例えば、オペレーターが意図している・いないに関わらず、顧客に虚偽の情報を伝えれば、コンプライアンス違反です。誤った情報により顧客が損失を被った場合は、補償する必要があるでしょう。
また、クレーム電話に対してつい感情的になり、差別的な発言や顧客の人格を攻撃する言葉を口にするのも絶対NG。
オペレーターは企業のブランドイメージを左右する存在だという意識を持ち続けましょう。
クレーム対応の際のポイントは、以下の記事を参考にしてください。
▶コールセンターのクレーム対応のコツ - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)
コールセンターのコンプライアンス対策4選
では、コンプライアンスを徹底するために、具体的にどういった対策をとれば良いのでしょうか?
コールセンターで”必須”と言えるコンプライアンス対策は、以下の4つです。
・本人確認が取れていない相手に個人情報を伝えない
・会話はすべて録音する
・違反時の対応フローを決めておく
記録媒体の持ち込みは厳禁
情報漏洩を防ぐために、コールセンター内に記録媒体を持ち込んではいけません。
本人に悪気がなくても、業務に使用したメモなどから情報が漏れてしまうリスクがあるからです。
・携帯電話、スマートフォン
・ノートや筆記用具
・USB
・カメラ
・録音機器
多くのコールセンターでは、鍵がかかるロッカーに私物をしまった上で、許可された必要最低限の持ち物(マスク、蓋付きの飲み物など)だけを透明バッグに入れて持ち込む運用をとっています。
本人確認が取れていない相手に個人情報を伝えない
問い合わせを受けた際、本人確認が取れていない相手に個人情報を伝えてはいけません。
例えば、「過去に登録した住所を忘れてしまった」や「パスワードを忘れたから教えて欲しい」といった電話が入っても、登録者本人かどうかわからない状態で答えるのはNG。電話の向こうにいる人物がお客様の名を語る別人だった場合、個人情報を漏洩することになります。
電話口で個人情報を伝える運用は避けた方が安全ですが、どうしても必要な場合は、
・オペレーターから登録された電話番号にかけ、出た人に伝える
・氏名+暗証番号、生年月日、電話番号、住所を質問して、本人確認をとる
といった対応をとりましょう。
会話はすべて録音する
顧客との会話は、すべて録音しましょう。
「オペレーターから聞いた情報が誤っていた」という指摘が入った場合に、対応者が文字で残した記録では信頼性が薄く、録音を確認しなければ正確に状況を把握することができません。録音があれば、「言った・言わない」で不毛な議論をすることもなくなります。
また、会話の録音は、悪質なクレーマー対策にもなります。
録音していることをアナウンスすると暴言に歯止めがかかったり、問題に発展した際に警察へ証拠として提出できたりするのです。
違反発覚時の対応フローを決めておく
コンプライアンス違反が発覚した際、どう対応すべきかのフローを決めておくことも重要です。
先述の通り、悪意がなくてもコンプライアンス違反は発生します。ひとたび違反が発覚したら、速やかな報告と対処に注力しなければなりません。「言わなければバレないだろう」といった考えは、被害を広め、企業の社会的信頼を大きく損なうことを認識しましょう。
そのためには、違反発覚時に取るべき対応フローを明文化し、日頃から周知しておく必要があります。
まとめ
コールセンターにおけるコンプライアンスについて、理解が深まったでしょうか?
頻繁に個人情報を扱い顧客と直接コミュニケーションをとるコールセンターは、企業の中でも特にコンプライアンスが求められる部門です。
業務の忙しさを理由にコンプライアンスを軽視することがないよう、研修などを通して定期的に重要性を周知するようにしましょう。
「CallConnect」は、クラウド型のコールセンターシステムです。
録音機能によって言った言わないといったトラブルを防いだり、通話内容を振り返ることでクレーム対応を改善できたりします。
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