CallCenter Times

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2023.01.19
コールセンターの業務を社内向けに可視化する方法は?

コールセンターで管理者の仕事をしていると、「他部署がコールセンターの業務を全然理解していない」「共有すべき内容がされていない」と感じる場面に多く遭遇します。

例えば、問い合わせを受ける可能性が高いキャンペーンの情報をきちんと事前共有してくれない、コールセンターで対応できる範囲外の処理を依頼してくるなど、その種類はさまざまです。

では、なぜこのようにコールセンターの業務が他部署に伝わっていないのでしょうか?

今回は、コールセンター業務を社内向けに可視化する方法について解説します。部署間における業務内容の可視化が難しい背景についても考察しますので、ぜひ参考にしてください。

管轄部門の違いや、ミッションの相違による可視化の難しさ

コールセンターの業務が他部署にしっかりと理解されていない背景には、管轄部門の違いという点が大きく関係しています。

『コールセンター白書2022』によると、コールセンターを管轄している部門の割合について聞いたアンケート結果は、以下のとおりです。

・出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P54

図からもわかるように、過半数以上の企業で「顧客サービス専用の部門として独立(51%)」となっています。

そのほか、営業部門やマーケティング部門に位置づけされている例もあるようですが、割合からすると決して多くありません。

この結果から、顧客サービス専門の部門として独自の位置づけが行われているがゆえに、他部署との間で壁のようなものができてしまっているのではないかと推測できます。

また、コールセンターの管轄部門に限らず、それぞれの部署において社内で求められるミッションが異なっていることも、業務内容の可視化を妨げる原因のひとつだと考えられます。

『コールセンター白書2022』による調査だと、「コールセンターの経営貢献として示している要素はあるか」との問いに対する回答は、以下のとおりです。

・出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2022』/株式会社リックテレコム/東京/2022.10.31/P55

このように、コールセンターは顧客サポートの充実や、VOCなどの情報収集を主なミッションとしているケースが多いです。つまり、実際には目に見えない、より顧客の内面にフォーカスした対応がミッションとして求められているわけです。

では、例として営業部門のミッションを考えてみましょう。営業部門の場合であれば、契約数や売上額など、より目に見える形での成果をミッションとして求められる傾向が強いといえます。

このように部署間で取り組むべきミッションが異なっていることが、より他部門がどのような業務をしているのかを見えづらくする要因のひとつとなっています。

他部署の業務を可視化できていないのはお互い様

「コールセンターの業務を他部署が全然理解していない」と嘆く管理者の方が多いですが、反対に他部署が具体的にどのような業務をしているのかを把握できていますか?

おそらく、多くの人が「多少知っている」または「全然知らない」のどちらかだと思います。もちろん、具体的に他部署がどんな業務をしているのかを把握できている方もいるでしょうが、ふんわりとしか把握していないというケースが大半だといえるでしょう。

つまり、他部署の業務を理解できていないという点においては、お互い様と言わざるをえないわけです。

筆者は過去にコールセンターで管理者として業務をしていました。その際によくあったのが、新しい商品の情報がきちんと共有されていないというものでした。

商品情報は主に営業部が管轄していましたが、発売日になっても具体的な商品情報が共有されず、お客様への説明に苦慮した経験があります。

営業部とのコミュニケーション不足といえばそれまでですが、「商品の発売に向けてバタバタと走り回っている営業担当者の状況を理解できていなかった」という反省があるのも事実です。

このように、他部署がどのような業務をどの程度のスケジュールで実行しているのかを把握するのは、とても困難です。だからこそ、コールセンター側も自分たちの業務をより理解してもらえるよう、社内に向けた可視化への取り組みが必要になります。

「コールセンターの業務を他部署が理解していない」と嘆く前に、まずは他部署の業務内容を知ろうとする姿勢が大切だといえるでしょう。

コールセンターの業務を自社内で可視化するためにできること

コールセンターの業務を自社内で可視化するためにできることをご紹介します。

どれもコールセンター部門だけでなく、他部署の協力が必要となります。

積極的に声掛けするなど、お互いの業務をより理解できるように取り組んでみてください。

社内報を発行する

社内にコールセンターの業務を理解してもらううえで、社内報はとても有効な手段です。具体的に「どういった問い合わせがあり、それをどう解決したか」など、他部署では経験できない事柄について掲載することで、よりリアルにコールセンターの業務を知ってもらえます。

ただし、社内報の発行には広報部や総務部など他部署の力が必要になるため、なぜ社内報を出したいのかを説明し、納得してもらう必要があります。

発行にも経費がかかるため、一筋縄ではいかないかもしれませんが、一度打診してみましょう。

お客様の声(VOC)の共有

コールセンターにはお客様の声(VOC)が多く集まります。これらの声は、新しい商品やサービスを展開する際の有効な資料です。

VOCを伝えることで、他部署が考えていることを把握できるかもしれません。例えば、「今後〇〇のようなキャンペーンを考えている」「VOCを分析したデータがほしかった」など、その内容はさまざまです。

VOCの共有は他部署と会話する機会として有効なものなので、ぜひ議題のひとつとして活用してください。

参考:VOCとは?活用のメリットやポイントをご紹介。 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

他部署間で定期的にミーティングを開催する

他部署の業務が可視化されていないという企業の場合だと、その多くが定期的な部署間でのミーティングを実施していないように感じます。

他部署が何をしているのかを把握する機会がなければ、その業務内容を理解することは難しいでしょう。

そういった意味からも、週1程度の頻度で他部署間のミーティングが行えればベストです。

ミーティングの文化がない企業では「定期的にミーティングを開こう」というと嫌煙されるかもしれません。しかし、きちんとその必要性を説明し、可能であれば実施してもらえるよう働きかけましょう。

業務内容の可視化は、継続的に実施する必要がある

今回は、業務内容を社内で可視化する方法について解説しました。

社内報や定期的なミーティングの開催など、できることは多々あります。

「他部署にコールセンターの業務を理解してほしい」と感じるのであれば、まずはこれらの方法を試してみるとよいでしょう。

ただし、どのような手段も1回限りでは意味がありません。コールセンターの業務内容を常に理解してもらうためには、継続的なアプローチが重要です。

部署間の業務を可視化できれば、業務効率の改善やより良い商品・サービスの開発など、社内全体の連携力強化にもつながります。

「他部署がコールセンターの業務を全然わかってくれない」と悩んでいる管理者のみなさんは、ぜひ継続的なアプローチを他部署に対して行っていきましょう。

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