こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
コールセンターにかかってくる電話の中には、高度な内容の問い合わせや執拗なクレームなど、現場オペレーターでは対応しきれないものがあります。
そのようなときに行われるのが、エスカレーションです。
エスカレーションとは?
エスカレーションとは、「段階的拡大」を意味する英語の「escalation」から来ている言葉です。ビジネスシーンでは、担当している業務の上席や責任者に指示や判断を仰いだり、代わりに対応を依頼したりすることを意味します。
コールセンター業務においてのエスカレーションとは、オペレーターが自分では対応しきれない電話対応を、リーダーやSV(スーパーバイザー)、センター長など上位の役職者に引き継ぐことを指して使われます。
「このようなクレームがありました」といった報告だけなら、エスカレーションとは呼びません。
エスカレーションが必要なシーンと課題
エスカレーションが必要となるシーンやタイミングは様々で、発生する理由や背景も1つだけとは限りません。
オペレーターの応対レベルによって、一次対応で解決できる範囲に幅が生まれます。
エスカレーションが必要なシーン
①商品についての高度な質問や技術的・専門的な要素の強い問い合わせ
経験の浅いオペレーターでは対応できないケースがあります。このような場合、商品知識や応対経験の豊富な先輩オペレーターが代わりに対応します。
②商品やサービスへのクレームやトラブル対応
消費者が理不尽な要求を繰り返す、責任者を出せと怒鳴りつけるといったケースは、エスカレーションが必要となる典型的な状況です。
③値引きをはじめとしたイレギュラーな対応など
オペレーターが判断できない、権限を持っていない内容に関してもエスカレーションが必要となります。
もし、適切なエスカレーションを行えずにオペレーターが一人で抱え込んで対応が長引いたり、誤った情報を伝えたりすると、二次クレームに発展してしまうこともあります。
エスカレーションを行う際の課題
コールセンターでエスカレーションを行う際によくある課題を3つ挙げます。
①問い合わせ内容の情報共有に時間がかかりすぎる
リーダーやSV、マネージャーなどに対応を代わってもらうためには、いま自分が受けている問い合わせ内容について、情報共有が欠かせません。しかし、情報共有に時間がかかりすぎるのは問題です。
手短に伝えようとするあまり、肝心な情報が漏れてしまっては本末転倒ですが、ダラダラと要領を得ない伝え方にならないよう工夫が必要でしょう。
また、上席が別件対応中、会議・出張で不在といったケースでは、エスカレーションが適切に行えずオペレーターが困惑することもあるかもしれません。
②上席に引き継ぐタイミングの判断が難しい
オペレーターが上席にエスカレーションする際には、適切なタイミングとシーンで依頼する仕組みが重要です。
安易に依頼しすぎる癖がついてしまうと、リーダーやSV(スーパーバイザー)など上席の負担が増えるだけで、オペレーターの成長やスキルアップに繋がりません。
しかし、エスカレーションを極力しないような指導をすると、自己判断で誤った対応をしてしまったり、対応時間が長くなったり、顧客満足度の低下を招きます。
③エスカレーション案件が多すぎる
エスカレーションを行う回数が増えすぎると、上席の対応が追い付かなくなり、1件の問い合わせが完了するまでに長い時間を要してしまいます。保留時間が延びたり、折り返し電話をするまでの間に「いつまで待たせるつもりだ」と催促の電話がかかってくるケースもあります。結果として、顧客満足度が下がる事態となりかねません。
日頃から、オペレーター自身が1人で対応可能な範囲を拡大する取り組みが必要です。
エスカレーションの方法・基本ルール
エスカレーションを行うには、どうしても顧客をお待たせする時間が発生します。できるだけ待ち時間を短縮し、スムーズに対応するには、どのようにエスカレーションを行えば良いのでしょうか。
まず、コールセンター内でどんなときにエスカレーションすべきなのか、エスカレーションを行う条件について定義しておく必要があります。
オペレーターによってエスカレーションを依頼する基準やタイミングがバラバラでは、適切な対応ができなくなります。
原則となる基準とルールを決めておくことが重要です。具体的な基準とルールがあれば、各オペレーターがエスカレーションを行うかどうかで迷う時間がなくなります。また、重大なトラブルでエスカレーションが必要なのにオペレーターの独断で対応を続けてしまう、といった個人の判断ミスも防げます。
もちろん、例外はあります。基本ルールではオペレーター自身が対応すべき範囲の内容であったとしても、
●ひたすら謝罪の言葉を繰り返している
●明らかに不安そうな表情
●何かに動揺している様子
など、対応中のオペレーターの様子をよく観察し、上席が必要だと判断したらヘルプに入る柔軟な対応が大切です。
次に、受電内容の緊急性や重要度によってエスカレーションの必要性を分類し、優先順位の高いものから依頼するのが基本です。どんなツールを使ってどのような順序でエスカレーションするか、手順や流れをまとめておくといいでしょう。リーダーやSVの不在時にどうするかといったルールも整備しておく必要があります。
エスカレーションを効率化するポイント
エスカレーションの件数が多くなると、オペレーターに代わって対応するSVやマネージャーの負担が増加します。責任者の負担を軽減し、本来の業務にあたる時間を十分に確保するためには、エスカレーションの効率化が重要です。
効率化するための運用ポイントを見ていきましょう。
①フローの定期的な見直し
エスカレーションのフローを作ったら終わり、と安心していてはいけません。実際に運用していく中で、使いづらい部分が見えてきたり、想定していなかった事例に遭遇する可能性もあるからです。
エスカレーションを効率化し、より良い対応をするためには、エスカレーションのフローを定期的に見直し、最新の状態に更新することが欠かせません。
②オペレーター用FAQの作成
リーダーやSVに過剰な負担をかけることなく、顧客満足度を高水準で維持するには、エスカレーションの件数そのものを必要最小限に減らすのが理想です。
そのためには、各オペレーターが自力で問題を解決できるスキルを高める必要があります。
コールセンターで受電する問い合わせ内容のうち、よくある質問をピックアップして、受電時に検索しやすいよう整理した「FAQ」を作るのがおすすめです。
フローと同様にFAQも定期的に更新することで、迅速で的確な対応に活かせるでしょう。
③オペレーターの権限を拡大
オペレーターが自らの知識と判断で対応できる範囲や権限が増えると、エスカレーションが必要となるケースが少なくなり、おのずとエスカレーションの件数が減ります。
定期的にスキルアップ研修やクレーマーへの対処法を学ぶセミナーなど、応対品質を向上させる取り組みを行うことで、オペレーターに自信がつきます。
オペレーターの権限で対応できる範囲が広がると、責任感が増してモチベーションも上がるでしょう。
結果として、リーダーやSVがより専門的な業務やマネジメントに使える時間が増え、コールセンター全体の生産性向上に繋がります。
まとめ
コールセンター運営には、日頃からオペレーターが委縮することなく、自信をもって対応できる環境づくりが大切です。
自らの権限の範囲内では対応しきれなかった案件については、スムーズなエスカレーションを適切に行えるよう、ルールやフローを明確化し、FAQを整備しましょう。
それと同時に、リーダーやSV、マネージャーといった責任者にはオペレーターへの的確なフィードバック、声をかけやすい雰囲気づくりも求められます。
オペレーターのストレス対策は、定着率の向上にも有効です。
「CallConnect」は、電話でのサポートやインサイドセールスに最適なコールセンターシステムです。
電話を保留にして取り次いだり、SVが顧客とオペレーターの通話をリアルタイムにモニタリングすることも可能です。「エスカレーションを効率化したい」という方は、無料トライアルをお試しください。