こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
コールセンター運営には応答率や成約率、稼働率など、重要なKPIがたくさん存在します。
しかし、重要なKPIにも関わらずあまり重視されていない指標があります。それが「サービスレベル」です。
そこで今回は、サービスレベルという指標の概要や必要性、実際の現場でどの程度重視されているのかについて解説します。
サービスレベルは応答率などの指標と比べ重視されていない傾向にあります。
しかし、コールセンター運用においてとても重要な指標となるため、サービスレベルについての理解をこの記事で深めてください。
コールセンターにおけるサービスレベルとは
サービスレベルとはどのようなKPIでしょうか?
サービスレベルの概要、多くのコールセンターで設定している基準値、サービスレベルを求める際の計算式について解説します。
サービスレベルの概要
サービスレベル(SL)とは、コールセンターにおいて品質に関する指標として用いられるKPIのひとつです。
設定された時間内でオペレーターが対応したコール数の割合を表しています。
例えば、30秒以内に受電するという基準を設けたとします。
集計までの間に100件の入電があり、そのうち基準値である30秒以内に受電できた件数が70件だとすると、この際のサービスレベルは70%です。
さきほどの例を品質面で考えると、全体の30%が基準の時間内に受電できていません。
すなわち、30%のお客様を30秒以上待たせてしまったということです。
待ち時間が長い=つながりにくいコールセンターといえますから、品質を考えるうえでサービスレベルは重要な指標といえます。
サービスレベルに明確な基準はあるの?
多くのコールセンターでは、「入電の80%を20秒以内に取る」という基準を目標に定めているようです。
しかし、サービスレベルに明確な基準はなく、業務内容や取り扱っているサービスなどによって数値が変動します。
そのため、サービスレベルの基準を設ける際は、自社の業務内容やサービスをしっかりと理解したうえで、適切な数値で設定する必要があります。
サービスレベルを求める際の計算式
サービスレベルは以下の計算式で求められます。
(計算式)
設定時間内の受電数÷すべての着信数×100=サービスレベル
(計算例)
800件(設定時間内の受電数)÷1,000件(すべての着信数)×100=80%(サービスレベル)
上記計算例では、特定の時間内に受電できた割合を求めた結果が80%でした。
では、この数値をどのように表記するのでしょうか?
今回は設定時間を30秒とした際の表記例をご紹介します。
(表記例)
「80(サービスレベル) / 30(設定時間)」
こちらの表記例のように、サービスレベルを表記する際は、「X/Y」という形であらわすのが一般的です。
※計算方法や表記例は企業によって異なる場合もあるため、それぞれ参考程度にご覧ください。
サービスレベルの設定が必要とされる理由
サービスレベルの設定が必要とされるのはどうしてでしょうか?
設定が必要とされる理由と、データを元に現場の実態を見ていきましょう。
サービスレベルの設定はなぜ必要なの?
サービスレベルの設定が必要とされる理由は、「顧客満足度に影響する」「人員を配置する際の資料となる」の2つです。
設定された時間内に対応できた件数が少ない、つまりサービスレベルが低いというのは、顧客の待ち時間が長くなっている状態です。
長時間オペレーターにつながらないストレスは顧客満足度の低下を引き起こす原因となり、品質低下だけでなく、コールセンター全体の評判も落ちる恐れがあります。
そのため、サービスレベルの設定は、品質を一定に保ち安定した顧客対応をするうえで必要な指標となるのです。
また、サービスレベルを分析することで、人員を適正に配置できるようになります。
サービスレベルが低い状態は、オペレーターの受電が間に合っていないことを意味します。
オペレーターの受電が間に合っていない原因に配置人数の不足が関係しているのであれば、サービスレベルを細かく分析することで、人材の適正配置が可能となるわけです。
もちろん、サービスレベルの低下は人材の配置不足以外にも、オペレーターのスキル不足、ソリューションの導入による業務効率化ができていない、などの問題も考えられます。
人員の適正配置を考える際は、サービスレベルのみを参考にするのではなく、その他の要因にも目を向けるようにしましょう。
サービスレベル設定を取り巻く現状
サービスレベルの設定は顧客満足度の向上や人員の適正配置の面で有効です。
では、実務の現場におけるサービスレベルの設定状況はどうなっているのでしょうか。
『コールセンター白書2020』によると、「サービスレベルの設定について」聞いたアンケート結果はこのようになっています。
参考:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P79こちらのアンケートでは、全体の半数を超える55%の企業が「(設定)していない」と回答しています。
恐らくこの背景には、多くの企業が、サービスレベルではなく着信全体における応答率を重視する傾向にあるからだと考えられます。
「そもそも着信全体における応答率が低ければサービスレベルも低くなる。だからこそ応答率からさきに考慮しなければならない」というのが現場の本音なのです。
しかし、応答率はあくまでも着信全体における受電数をあらわす指標であるため、1時間以上顧客を待たせた後の受電だとしても、受電数1とカウントされてしまいます。
これでは長時間待たされた顧客のストレスはたまるばかりで、お世辞にもコールセンターとしての質が高いとはいえません。
応答率を追い求めるのも大切ですが、それと同時に顧客の目線に立った運用をするためにも、サービスレベルの設定・分析を欠かすことはできません。
サービスレベルを改善させる方法
サービスレベルを設定・分析するメリットはご理解いただけたと思います。
では、実際にどのような方法でサービスレベルを改善させるのでしょうか。
取り入れられるものから実践してみてください。
チェック体制を強化する
サービスレベルを改善するためには、チェック体制の強化を図る必要があります。
KPI全体におけるチェック体制について調査したアンケート結果はこちらです。
参考:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P76こちらの結果では、「1日の平均値をチェックしている」という回答が45%を占めています。
コールセンターは1日の間でも入電が少ない閑散とした時間帯もあれば、爆発的に入電が入る時間帯もあります。そのため、1日のなかでも時間帯によってサービスレベルの達成度に差が生じます。
そのため、1日の平均値のみチェックしても、適切なサービスレベルを読み取ることはできません。
時間帯ごとのデータを細かくチェックすることで、より精度の高いサービスレベルの分析ができ、ひいては顧客満足度の向上や人員の適正配置に役立てられるのです。
業務効率の向上を図る
サービスレベルを改善するためには、業務効率の向上を図る必要があります。
AHT(平均処理時間)、ATT(平均通話時間)、ACW(後処理時間)といった、オペレーターのスキル向上やITソリューションの力によって改善が期待できる指標を目安に目標を立てるのがおすすめです。
AHTなどの指標を底上げする方法として以下が考えられます。
・業務マニュアルやスクリプトの改善
・FAQの精度を高める
・ITソリューションを活用する
・定期的な研修を実施する など
ただし、業務効率の向上を図るばかりに、顧客への対応が投げやりになってはいけません。
サービスレベルが高い=つながりやすいコールセンターを意味しますが、つながりやすいだけでは顧客の課題を解決できません。
顧客の疑問を解決しようとする丁寧な説明と、寄り添う心が必要であることを忘れてはいけないのです。
参考:コールセンター運営に欠かせないKPIを徹底解説 〜インバウンド編〜
コールセンターシステムを導入する
サービスレベルの改善にはコールセンターシステムの導入が不可欠です。
コールセンターシステムは、オペレーターの業務を助けるだけでなく、管理者が行う集計業務なども効率化してくれます。
例として、コールセンターシステムの機能をいくつかご紹介します。
・自動応答電話(IVR)
・顧客管理システム(CRM)
・着信呼自動分配装置(ACD)
・顧客情報ポップアップ
・クリックコール
・統計、レポート機能 など
コールセンターシステムをはじめとするITソリューションの活用により、業務効率の改善や集計作業の迅速化が図れます。
その結果、サービスレベルの改善が期待でき、より質の高いコールセンターを目指すことができるでしょう。
サービスレベルの重要性を再認識しましょう
サービスレベルは顧客満足度や人員の適正配置の面で重要な意味を持つKPI指標です。
しかし、応答率にとらわれ過ぎるがあまり、実際の現場では管理や分析がおろそかになっています。
より顧客から信頼されるコールセンターを築くには、サービスレベルの重要性をいまいちど理解する必要があるでしょう。
「CallConnect」は、サポートやインサイドセールスに最適なコールセンターシステムです。
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(参考図書)
「コールセンター白書2020」
月刊コールセンタージャパン編集部/株式会社リックテレコム/2020.10.16
「図解でわかる コンタクトセンターの作り方・運用の仕方」
(著)有山裕孝・仲江洋美・市瀬眞/株式会社日本実業出版/2021.3.1