こんにちは。「CallConnect」ライターチームです。
コールセンターで電話応対をするにあたり、特に重視されるのが言葉遣いです。
2021年に一般社団法人日本能率協会が行った調査によると、ビジネスマナーにおいて不快な思いをした理由として最も多いのは「言葉遣い・敬語の使い方」、4番目は「電話応対」でした。
電話を通じ言葉のみでコミュニケーションをするコールセンターでは、対面のビジネスシーン以上に言葉遣いが注目されるのは間違いありません。「なんだその言葉遣いは!」とクレームを受けた経験がある方も多いのではないでしょうか?
不快な思いをしたビジネスマナーについて,「ビジネスパーソン1000人調査」,一般社団法人日本能率協会この記事では、コールセンターで使用してはいけない20のNGワードと、正しい表現をご紹介します。
使ってはいけない理由も併せて解説するので、ご自身が理解するのはもちろん、新人オペレーターの研修などにも活用可能です。
正しい言葉遣いでお客様と円滑にコミュニケーションがとれるよう、ぜひ最後までチェックしてください。
- 挨拶・応対の始まりのNGワード
- 声が聞こえない時のNGワード
- 電話を取り次ぐ時のNGワード
- 案内する時のNGワード
- 依頼を受ける時、断る時のNGワード
- 確認する時のNGワード
- 相槌のNGワード
- まとめ
挨拶・応対の始まりのNGワード
まずは、電話を受け本題に入る前に使いがちなNGワードを3つご紹介します。
お客様とのファーストコンタクトですので、この段階で第一印象が決まると言っても過言ではありません。その後のやり取りがスムーズにいくように、正しい言葉遣いでスタートを切りましょう。
「お疲れ様です」「お世話様です」
「お疲れ様です」「お世話様です」という言葉には、相手に対して「ご苦労様」と労う意味があります。
目上の人が部下や後輩に対して感謝や労いの気持ちを表現する言葉ですから、お客様に対して使用するのは適切ではありません。聞き手によっては、「敬意がない」とカチンときてしまうでしょう。
相手と電話がつながった時の第一声としては、以下のような言い回しが適切です。
「お世話になっております」「いつもお世話になっております」
「お電話ありがとうございます」
「大変お待たせいたしました」
「お名前を頂戴してもよろしいですか?」「お名前をいただいてもよろしいでしょうか?」
お客様の名前を確認する際に使いがちなNGワードです。
敬意を示しているように感じるかもしれませんが、「頂戴」「いただく」は「もらう」の謙譲語。そもそも名前は「もらう」ものではありません。
オペレーターはお客様のお名前を「聞きたい」あるいは「教えてもらいたい」のですから、適した動詞の謙譲語・丁寧語を使いましょう。
さらに、「恐れ入りますが」「差し支えなければ」といったクッション言葉をプラスすれば、印象がグッと良くなります。
「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「差し支えなければ、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「恐れ入りますが、お名前を教えていただけますか?」
「下のお名前を教えていただけますか?」
日常生活で使用しがちな「下の名前」という表現も、正しい言葉ではありません。
名前には「姓(名字)」と「名」はありますが、「上」と「下」はありません。また、敬うべきお客様に対して上下の概念でお名前を聞くのも失礼にあたります。
コールセンターではフルネームの確認が必要なケースが多いので、最初からストレートに「フルネームを」と確認する方が好印象です。
「フルネームをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
※相手が名字しか言わなかった場合、
「〇〇(名字)様ですね。恐れ入りますが、フルネームをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
声が聞こえない時のNGワード
電話機の調子が悪い時やお客様の声がよく聞えない時に言いがちなNGワードを2つご紹介します。
忙しい時などに聞こえづらいと言葉遣いが粗野になりがちですが、そうした態度はトラブルの元です。正しい表現を身につけ、どんなシーンでも美しい言葉遣いができるオペレーターを目指しましょう。
「もしもし」
受電の第一声としてNGなのはもちろん、「もしもし」は声が聞こえづらい場合にもご法度のNGワードです。
元々は「申す、申す」の略語であり、略語をお客様に使用するのは失礼であるというのが理由です。しかし、語源を知らない聞き手に対しても、仕事とプライベートの使い分けができていない印象を与えるため、ビジネスシーンでは使用しないようにしましょう。
お客様に呼び掛ける時には、お名前を呼ぶ方が丁寧で好印象です。
「〇〇様?」
※お名前がわからなければ、
「お客様?」
参考:コールセンターで「もしもし」は禁句?その理由や言い換えとは
「声が小さくて聞こえないのですが……」
声が聞きとりづらいとつい言ってしまいそうになる台詞ですが、全面的にお客様のせいにする言い回しは失礼にあたります。相手によっては責められた気分になって、強く不快感を感じるNGワードです。
通話に使用しているマイクの設定が原因の可能性も考えられるので、あくまでお客様本人を責めない言い方で呼びかけましょう。
「少々お電話が遠いようですが、こちらの声は聞こえていますか?」
「少々お声が遠いようでして、もう一度仰っていただけますか?」
電話を取り次ぐ時のNGワード
他部署、あるいは同じコールセンター内のSVやオペレーターに電話を転送する際に言いがちなNGワードを3つご紹介します。
「電話を取り次ぐだけでしょ?」と思うかもしれませんが、意外と使いがちなNGワードがあるんです。この機会にチェックしておきましょう。
「お電話をお回しします」
「では、担当部署にお電話をお回しします」というように使いがちな表現ですが、実はNG。なぜなら、せっかく電話をかけてきてくださったお客様に対して「たらい回し」の印象を与えてしまうからです。
昔は電話交換手がダイヤルを回して当該部署へ電話を転送していたそうですが、現在は「つなぐ」という表現の方が適切、かつ好印象です。
「お電話をおつなぎします」
「〇〇部長に代わります」「SVに代わります」「〇〇さんに代わります」
基礎的なビジネスマナーですが、お客様との会話の中において、社内の人間に役職名や「さん」は付けません。
特に口にしてしまいがちなのが、先方から「上の人を出して」と言われた時。「では、SVに代わります」と言って「SVって何だ?!」と怒られた経験がある方もいるのではないでしょうか?「SV」のようなコールセンターの役職名は業界用語なので、お客様に言うと混乱を招き、話がこじれてしまいます。
こういった場合には事前にSVと相談した上で、「責任者に代わります」といった表現を使いましょう。
「〇〇(社内の人の名前)に代わります」
「責任者に代わります」
「〇〇はお休みをいただいております」
丁寧な言葉を使おうとする余り、使ってしまいがちなNGワードです。
本来、社員に休みを与えるのは会社であり、お客様ではありません。そのため、休みを「いただく」と言うと、会社に対して敬意を示していることになり、お客様対応上の言い回しとしては不適切です。
シンプルに「休みをとっております」と言う方がスマートです。
「〇〇は休みをとっております」
案内する時のNGワード
お客様の問い合わせに対し、案内や説明をする際に使いがちなNGワードを4つご紹介します。
難しい内容や、先方の温度感が高い時には、つい焦って言葉遣いが乱れてしまいます。正しい言葉遣いを習慣にすることで、焦った時にも対応できるようになるので、ぜひ日頃から意識してみてください。
「~になります」
「担当は〇〇になります」「こちらが商品になります」というように、何も変化しないのに「なります」を使用するのはNGです。
「なる」とは、前の状態から別の状態に移ることを意味します。そのため、「前担当は〇〇でしたが、今月から△△が担当に”なります”」という表現であればOK。
特に変化がない場合には、以下のような表現が適切です。
「担当は〇〇でございます」
「こちらが商品でございます」
「~のほう」「~する形」
「書類のほうはお持ちでしょうか?」「送料はお客様にご負担いただく形になります」
など、よく耳にする言い回しですが、言葉を誤用しているため不適切です。
それぞれの正しい使い方は以下のとおりです。
・「~のほう」:2つの比較対象のうち、どちらかを指し示す
・「形」:形状や外形を示す
「~のほう」「~する形」は、ファミレスやコンビニの接客で使われる誤った敬語『ファミコン言葉』の代表格です。気になる人も多いので、普段から使わないようにしましょう。
「書類はお持ちでしょうか?」
「送料はお客様にてご負担をお願いいたします」
「ですから」
お客様に対し2回以上同じ説明をする時や、こちらの説明を誤解された時に言ってしまいがちなNGワードです。ひとたび口にすれば、相手の神経を逆なでし、クレームに発展させてしまうので、コールセンターでは厳禁と心得ておきましょう。
「ですから」という”反論”の接続詞は、「だから」「だって」「でも」と並んで「D言葉」と呼ばれます。これを、以下の「S言葉」に変えて”共感”を示し、事を荒立てないのが賢い電話応対です。
「失礼いたしました」
「承知しました」
「さようでございますか」
「ご存じないようでしたら」
「ご存じないようでしたら、資料をお送りしますが……」と、「知っていて当然のことを知らない」と相手を見下している印象を与えるNGワードです。
「よろしければ資料をお送りいたします」
「もしよろしければ、担当窓口の電話番号をご案内いたします」
依頼を受ける時、断る時のNGワード
お客様の依頼に対する返答に使いがちなNGワードを2つご紹介します。
要望に対して適切な回答内容だとしても、言葉遣いが誤っていればお客様からの信頼を損ないかねません。聞き手に安心感を与えるために、NGワードの使用は避けるようにしましょう。
「~しておきます」
「伝えておきます」「資料を送っておきます」といった表現で使いがちですが、聞き手によっては「片手間にやる」「仕方なくやる」というニュアンスを感じてしまいます。
電話応対では使わないほうが良いでしょう。
「申し伝えます」
「資料をお送りいたします」
「できません」
どんな依頼でも、真っ向から「できません」と否定するのは控えましょう。お客様に「自分は拒絶された」という印象を与え、その後の会話がスムーズに進まないばかりか、顧客離れにまでつながる恐れがあります。
依頼に応えられない場合は、クッション言葉を使って丁重にお断りしましょう。
さらに、断った後に代替案を提案できれば、より前向きな印象を与えることができます。
「誠に申し訳ございませんが、お客様のご要望には対応できかねます」
「お客様のご要望の〇〇は致しかねますが、△△であればできますがいかがでしょうか?」
※もし「~かねます」だと「可能性があるのか?」と相手に期待を持たせてしまう
心配がある場合は、
「お客様のご要望は弊社としてはお受けできません」
確認する時のNGワード
お客様に案内や回答をした後、確認をとる際に使いがちなNGワードを2つご紹介します。円滑に確認がとれるよう、正しい言い回しを覚えておきましょう。
「~でよろしかったでしょうか?」
話し終わった内容の確認なので、「よろしかったでしょうか?」と過去形で訊いてしまいがちですが、これも『ファミコン言葉』の代表です。
数日前の出来事の確認なら過去形でOKですが、つい今しがた話した内容を過去形で確認すると、耳障りに感じる人が多いので使わないようにしましょう。
「こちらでよろしいでしょうか?」
「お分かりいただけましたでしょうか」
相手の理解力を試すような聞き方で不快感を与えるNGワードです。また、「ました」「でしょうか」と二重敬語になっている点も、不適切だと言えます。
案内した内容が伝わったかどうかは、不明点がないか否かで確認するようにしましょう。
「ご不明な点はございませんか?」
「ご質問はございませんか?」
相槌のNGワード
最後に、無意識に口にしがちな相槌のNGワードを4つご紹介します。
細部まで正しい言葉遣いで、一目置かれるオペレーターを目指しましょう。
「そうですね」
「そうですね」「そうなんですね」「そうですよね」といった言葉には相手の発言を肯定する意味があります。しかし、上の立場の人から部下などに「OK」を出すニュアンスが強く、お客様に対して使用するのは不適切です。
特に、相槌として連発すると不快感を感じる聞き手もいるので、敬意のある表現に言い換えましょう。
「さようでございますか」
「おっしゃる通りです」
「ごもっともです」
「なるほど」「なるほどですね」
「なるほど」にも、相手の発言に同意や納得を示す意味があります。しかし、相手の言葉に評価を下す上から目線のニュアンスがあるため、電話応対では使用しない方が賢明です。
感嘆詞である「なるほど」に「ですね」を付けても文法的に誤っているので、別の表現に言い換えましょう。
「さようでございますか」
「おっしゃる通りです」
「ごもっともです」
「とんでもございません」
日常生活に浸透している言葉ですが、実は文法的には誤っています。元となる「とんでもない」はひとつの形容詞なので、「とんでも」+「ない」に分解して「とんでも」+「ございません」とすることはできません。
最近では日常的な場面で使うのはOKと許容されつつありますが、お客様の応対においては避けた方が良いでしょう。
「とんでもないです」
「とんでもないことでございます」
「うんうん」「はいはい」「はぁ」
オペレーターに悪気はなくても、聞き手にとっては印象の悪い相槌です。「ちゃんと聞いているのか?!」とクレームを誘発する危険性もあるので、正しい相槌の表現を覚え、繰り返し使って定着させましょう。
「はい」
「さようでございますか」
まとめ
最後に、ご紹介したNGワードと言い換えに使える正しい表現をまとめます。
- ✕「お疲れ様です」「お世話様です」
〇「お世話になっております」「お電話ありがとうございます」 - ✕「お名前を頂戴してもよろしいですか?」「お名前をいただいてもよろしいでしょうか?」
〇「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」 - ✕「下のお名前を教えていただけますか?」
〇「フルネームをお伺いしてもよろしいでしょうか?」 - ✕「もしもし」
〇「〇〇様?」「お客様?」 - ✕「声が小さくて聞こえないのですが……」
〇「少々お電話が遠いようですが、こちらの声は聞こえていますか?」 - ✕「お電話をお回しします」
〇「お電話をおつなぎします」 - ✕「〇〇部長に代わります」「SVに代わります」「〇〇さんに代わります」
〇「〇〇(社内の人の名前)に代わります」「責任者に代わります」 - ✕「〇〇はお休みをいただいております」
〇「〇〇は休みをとっております」 - ✕「~になります」
〇「担当は〇〇でございます」「こちらが商品でございます」 - ✕「~のほう」「~する形」
〇「書類はお持ちでしょうか?」「送料はお客様にてご負担をお願いいたします」 - ✕「ですから」
〇「失礼いたしました」「承知しました」「さようでございますか」 - ✕「ご存じないようでしたら」
〇「よろしければ~」 - ✕「~しておきます」
〇「申し伝えます」「資料をお送りいたします」 - ✕「できません」
〇「誠に申し訳ございませんが、お客様のご要望は弊社としてはいたしかねます」 - ✕「~でよろしかったでしょうか?」
〇「こちらでよろしいでしょうか?」 - ✕「お分かりいただけましたでしょうか」
〇「ご不明な点はございませんか?」「ご質問はございませんか?」 - ✕「そうですね」
〇「さようでございますか」「おっしゃる通りです」「ごもっともです」 - ✕「なるほど」「なるほどですね」
〇「さようでございますか」「おっしゃる通りです」「ごもっともです」 - ✕「とんでもございません」
〇「とんでもないです」「とんでもないことでございます」 - ✕「うんうん」「はいはい」「はぁ」
〇「はい」「さようでございますか」
正しい言葉遣いを身につければ、電話応対のレベルはぐんとアップします。
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