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2024.07.05
コールセンターにRPAを導入するには?流れや導入例を解説

RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコンなどにインストールして利用するソフトウェア(ここでいう「ロボット」)を使って、人間が行う定型的な業務プロセスを自動化する技術のことです。
スターティアホールディングス株式会社が2023年に行った調査によると、国内企業のRPA導入率は14.16%、中小企業のなかでは7.44%、大企業のなかでは24.78%。
少なく感じるかもしれませんが、定型的な業務が多いコールセンターはRPAと相性が多いため、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。

参考:「RPAの活用」実態調査【スターティアレイズ調べ】

そこで本記事では、RPAの導入手順や注意すべきポイント、導入例について解説します。

コールセンターにおけるRPA導入の流れ

コールセンターでRPAの導入を成功させるには、以下の流れを参考にしてください。

コールセンターにおけるRPA導入の流れ
1.導入する業務の選定と目標設定
2.導入するツールの選定
3.トライアルを行う
4.実装とトレーニング
5.運用開始と効果測定
6.拡張と最適化

1.導入する業務の選定と目標設定

まずは、どの業務にRPAを導入するかを選定します。
RPAが効果を発揮するのは、データ入力、情報の検索と収集、レポートの作成など、手順やルールが決まっている定型的な作業です。現状の業務プロセスと業務量を洗い出し、RPAに適している業務をしっかり見極める必要があります。

この時に、効率化やコスト削減、エラー率の低減など、RPA導入で達成したい目標の数値もある程度考えておきましょう。次のステップでRPAツールの選定を行う際、期待値と導入コストとの兼ね合いを見るためです。
あくまでもRPAは、業務改善のための手段のひとつ。場合によっては、業務プロセスの見直しやRPA以外のツールの方が効果的なこともあります。始めの段階で、「これくらいの効果があるならRPAを導入する」という目安をもっておきましょう。

2.導入するツールの選定

どの業務に導入するかが決まったら、次はRPAツールの選定を行います。
以下のようなポイントに留意してツールを選びましょう。

<RPAツールを選ぶ際のポイント>
・ツールの特徴
・導入と運用のコスト
・現行のITインフラとの互換性
・誰が使うか(プログラマーか?コールセンターの現場担当か?)
・アフターフォローは充実しているか

3.トライアルを行う

導入候補のRPAツールのトライアル期間(1週間~1か月程度)を利用して、使用感を確認します。できるだけ導入後と同じ環境を作り、操作方法や運用面の課題と解決策を確認しておきましょう。
また、一定期間RPAを試しながら、実際の効果はどれほどなのかを検証することも重要です。

4. 実装とトレーニング

トライアルを通して課題を解消したら、いよいよRPAを実装します。
事前にマニュアルの配布や研修も行い、従業員がスムーズにRPAを使用できるようにサポートしましょう。

5.運用開始と効果測定

実際の業務にRPAを導入し、運用を開始します。
担当者は随時運用状況をモニタリングし、必要に応じてプロセスの調整や改善を行います。
軌道に乗ってRPAツールに業務を任せられるようになったら、効率化やコスト削減だけでなく副次的な効果も含めて、定性面・定量面な評価を行いましょう。

6.拡張と最適化

初期導入が成功した場合は、他の業務にもRPAを適用し、さらなる効率化を図ります。
また、 継続的にRPAの運用状況をチェックし、技術の進化や業務の変化に応じてシステムを最適化していきましょう。

RPA導入の際の注意点

RPAを導入する際には、以下の3点に注意しましょう。

RPA導入時の3つの注意点
・自動化できる作業かどうかの見極め
・運用体制を明確にしておく

・まずはスモールスタート

自動化できる作業かどうかの見極め

RPAはすべての作業を自動化できるわけではないので、見極めが重要です。
RPAを実現するには、手順が決まっている業務を、以下のように細分化してシナリオに落とし込む必要があります。

<シナリオの例>

そのため、以下のような業務には適しません。
・標準化されていない業務
・頻繁に手順が変更される業務
・パソコン上で完了しない業務

また、適切に見極めをするためには、事前に現状の業務フローを十分に理解し、無駄や非効率を取り除いておくことが大切です。条件を数字で判断できるようにしたり、作業の工数を減らしておくことで、スムーズに導入が進みます。

運用体制を明確にしておく

RPAを成功させるには、社内の運用体制を明確にしておく必要があります。
以下のような場面で主導する部署やチームを、必ず決めておきましょう。

・ツールの選定
・効果測定
・マニュアル作成
・ツールのメンテナンス
・トラブル時の対応

また、属人的な管理を続けていると、担当者の不在時や異動・退職後のトラブルに対応できなくなるリスクがあります。業務プロセスやメンテナンス方法は、随時ナレッジとして社内で共有しましょう。

まずはスモールスタート

初めてRPAを導入する場合は、スモールスタートがおすすめ。なぜなら従業員がRPAに不慣れな段階で複数の業務に導入すると、混乱が起きて仕事がストップするという本末転倒の事態になりかねないからです。
まずは一部の業務で取り入れてから、徐々に範囲を広げてきましょう。

コールセンターにおけるRPAの導入例

本章では、実際にコールセンターでRPAを活用している以下の3つの事例をご紹介します。

コールセンターにおけるRPAの導入例
・バックオフィス業務を自動化した例
・メールの返信対応を自動化した例

バックオフィス業務を自動化した例

電気通信事業が運営するコールセンターでは、バックオフィス業務にRPAを導入。
法人向けの通信回線の新規開通や契約変更など約200種類の業務がある中、約7割にRPAを活用しています。
その結果、120~130人を要した業務を100人程度に抑えるだけでなく、オペレーションミスを大幅に減らすことができました。

メールの返信対応を自動化した例

カタログ通販の会社では、自社通販サイトのメール返信にRPAを導入。
返品、パスワード、退会、請求書再発行など、定型で業務ボリュームのある分野にRPAを活用した結果、問い合わせのうち55%に自動で対応できるようになりました。
特にインパクトが大きかったのは、以下の2項目です。

  • 返品受付:支払方法や返品数によって案内が変わるため、それらを確認した上で返信するという一連の流れをRPAで自動化
    ⇒必要要員数が40%減少、コールセンターの営業時間を4時間短縮できた。
  • パスワードの問い合わせ:「パスワードが分からずログインできない」という顧客に、再設定する方法を回答する流れをRPAで自動化
    ⇒すぐに再設定して買い物ができるようになり、売り上げが向上

まとめ

RPAの導入について、理解が深まったでしょうか?
コールセンターには、以下のように定型的に反復される業務が多く存在します。

・同じ内容の問い合わせへの回答
・問い合わせに付随する事務処理
・架電リストの作成
・各種レポートの作成
・Webサイトからの情報取得やデータ登録

こうした業務を自動化すれば、人の判断を必要とする複雑な業務により多くのリソースを回せるようになるため、顧客満足度の向上も期待できます。
この機会に、ぜひ検討してみてはいかがでしょう。

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