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2024.05.21
顧客の声を事業に生かす!コールセンターによるVOC分析の手順を解説

コールセンターに寄せられるVOC(顧客の声)は、顧客満足度の向上やマーケティングなど、経営全体の強化につながる貴重な資源です。しかし、どのように事業に生かせばよいのか、悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、VOC活動をする際に欠かせない事前準備や具体的な活動内容について解説します。

「そもそもVOCとは何か」について知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてくださいね。
VOCとは?活用のメリットやポイントをご紹介。 - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)

VOC活動の事前準備

VOC活動を本格的に始める前に、必ずやるべき準備は以下の2点です。

VOC活動の事前準備
1.目的を明確にする
2.対象者・調査項目・収集方法を決定する

1.目的を明確にする

まずは、VOC活動を行う目的を明確にします。目的が曖昧だと、調査対象や調査項目が的を得ず、せっかく時間をかけて収集したVOCを有効に活用することができません。
以下の例を参考に、「何のためにVOCを収集するのか」「収集したVOCをどう活用するのか」を、具体的に決めておきましょう。

<目的の例>
・商品やサービスの改善
 (VOCから商品やサービスの課題を見つけ、改善する)
・コールセンターの応対改善
 (コールセンターの応対に関する課題を見つけ、改善する)
・コールセンターへの問い合わせ数の削減
 (よくある問い合わせを見える化し対策をとることで、問い合わせ数を減らす)
・営業活動への活用
 (顧客の悩みやニーズを把握し、営業活動に役立てる)
・従業員のモチベーションアップ
 (感謝の声や自社商品にまつわる心温まるエピソードを共有し、従業員の
  モチベーション向上に生かす)

2.対象者・調査項目・収集方法を決定する

VOCを収集する目的が明確になったら、次に対象者や調査項目、データの収集方法などを決定しましょう。
例えば、新サービスに対する反応を知りたい場合には、対象をサービス利用者に絞り、調査項目は新サービスへの満足度や要望を聞き取る内容で構成します。このように、目的に応じて調査の詳細を決めていきます。

VOCの収集方法は、以下の3つが主流です。

<VOCの収集方法>
・電話、メール、チャットなどで得たVOCを、CRM(顧客関係管理)に入力する
・IVRやメールでアンケートを実施する
・SNSでリサーチする
収集方法によっては、トークスクリプトやアンケートフォームを作成する必要があります。より多くのVOCを取得するためには、お客様が手軽に回答できる仕組みが不可欠。「多過ぎない設問数」や「分かりやすいUI」になるよう、十分気を配りましょう。

4Aサイクルを回す

事前準備が終わったら、「4Aサイクル」と呼ばれる顧客マネジメント手法を用いてVOC活動を継続的に循環させましょう。
4Aサイクルは、以下4つの”A”で構成されています。

4Aサイクル
Accept:VOCを収集する
Analyze:VOCを分析する
Acknowledge:分析したVOCの共有
Act:改善を実施する

Accept:VOCを収集する

事前に決めた収集方法に基づいて、VOCを集めます。
運用が始まったばかりの段階では、調査対象者の絞り込みに誤りがあったり、アンケートフォームの不備が見つかったりと、トラブルが起きがちです。VOCの担当者がこまめにデータをチェックするのはもちろんですが、少しでも気になる点があれば、現場のオペレーターからも声を上げてもらえるよう、周知徹底しておきましょう。

Analyze:VOCを分析する

一定期間分のVOCが集まったら、データを一元化し、分析を行います。
VOCの分析で肝心なのは、スピードです。なぜなら分析に時間をかけ過ぎるとデータがどんどん古くなり、お客様のニーズやトレンドのピークを逃してしまうからです。
こうした事態を避けるためにも、事前準備の時に定めた「目的」に関するVOCに絞って分析を行いましょう。

人の手では分析が困難なほど膨大なデータを扱う場合には、以下のようなツールやサービスを活用することをおすすめします。

<分析に役立つツールやサービス>
・データ分析や集計機能のあるCRM
・通話内容の文字起こしや自動要約ができる音声認識ツール
・重要キーワードを抽出するテキストマイニングツール
・外部の事業者へVOCの分析を委託

Acknowledge:分析したVOCの共有

VOCの分析結果は、コールセンター内に留めず、社内全体で共有しましょう。
分析結果について他部署とも意見を交換することで、より良い改善につながります。

Act:改善を実施する

分析結果から導き出された改善のための施策を実施します。
例えば、コールセンターへの問い合わせの削減が目的の場合、最も多かったコールリーズン(例:Webサイトでの解約方法を教えてほしい)を減らすために、サイトのUIを改善するといった施策が考えられるでしょう。実施後、問い合わせ数が実際に減少したかどうかを見ることで、改善活動の成果をはかることが可能です。

VOC活動の事例

本章では、実際にVOCを収集し、活用している以下2つの事例をご紹介します。

VOC活動の事例
・問い合わせ数の削減に成功した例
・キャンセル率の低下に成功した例

問い合わせ数の削減に成功した例

モビリティ関連事業を行う企業Aでは、アプリやサービスのCX向上を目指す戦略グループを発足。電話、メール、チャットボット経由の問い合わせを収集し、週次と月次でVOC分析を行っています。

戦略グループがコールリーズンを分析したところ、車両内での忘れ物に関する問い合わせは、車両を管理する提携会社へ連絡が必要なのにも関わらず、多くの顧客が企業Aのコールセンターに問い合わせている事実が発覚しました。
そこでアプリのUIを変更し、問い合わせフォームの最上部に車両内の忘れ物に関する導線を設置。車両の利用履歴に繋がり、タップで顧客から提携会社に直接電話がかけられるように改良しました。
この取り組みにより、忘れ物に関する問い合わせは、施策実施前の3分の1まで削減されました。

キャンセル率の低下に成功した例

通販サイトを運営する某企業では、VOCを収集・分析し、サービスに関する顧客の不満を解消する取り組みを実施しています。
特にネガティブな意見が多かった予約商品のキャンセル理由を分析したところ、カードの引き落としエラーが原因だと発覚。エラー時に送信している支払い方法の変更を依頼するメールが顧客の目に留まらず、期日を過ぎて自動キャンセルになっている状況が分かりました。

そこでエラー発生時には顧客に架電する運用を追加したところ、予約商品のキャンセル率が低下。売上の向上につながりました。

まとめ

VOCを事業に生かす方法について、理解が深まったでしょうか。
コールセンターに蓄積されているVOCは宝の山、と言われて久しいですが、業界の人手不足が続く中、データを有効活用できている事例はまだまだ少ないのが実際のところです。

そんな現状を変えるのではと目されているのが、生成AIに代表される新しいIT技術。分析が困難とされてきた定性データも、収集・分析・共有・活用というプロセスの一部をAIに置き換えられると考えられています。さらに、VOCと様々な顧客情報との紐づけも容易になり、情報の価値はより高まるでしょう。
このように、今後数年間のうちにVOC活動は大きく進化を遂げる見込みです。担当者の方には「宝の山」を生かすために、アンテナを高く張っておくことをおすすめします。

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