コロナ禍により、コールセンターのリモート勤務や拠点の分散に拍車がかかりました。
このマルチサイト化(複数の場所や拠点での運営)の裏で、「SIP」という通信プロトコルが活躍しているのをご存じでしょうか?
「聞いたことはあるけど、よく理解していない…」という方のために、この記事ではSIPの概要やSIP電話のメリット・デメリットを解説します。
自社に導入するかどうかの判断材料として、ぜひチェックしてください。
- SIP (Session Initiation Protocol)とは
- SIP電話の種類
- SIP電話とIP電話の違い
- SIPサーバーとIP-PBXの違い
- SIP電話のメリット
- SIP電話のデメリット
- まとめ
SIP (Session Initiation Protocol)とは
SIP (Session Initiation Protocol)とは、VoIP(インターネットを介して音声を送信する通信技術)におけるプロトコルのひとつ。
データをやりとりするために定められた手順や規約、信号の電気的規則、通信における送受信の手順などを定めた規格のこと。
リアルタイム通信に向いており、IP電話やビデオ通話、メッセンジャーなどに幅広く採用されています。
VoIPについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
SIP電話の種類
SIPを利用したインターネット上で利用できる電話システムのことを、「SIP電話」あるいは「SIPフォン」と呼びます。
SIP電話として利用できる端末は、以下の2種類です。
- ハードウェアベース
- ソフトウェアベース
ハードウェアベース
ハードウェアベースとは、以下のような固定電話機を指します。
Grandstream GXP1620/1625 IP電話機従来の電話機と同等の操作性に加えて、録音再生や着信履歴の表示など、SIPサーバーの便利な機能を利用するためのボタンが付いているタイプもあります。
IPネットワークに接続するには、LANケーブルが必要です。
ソフトウェアベース
ソフトウェアベースとは、パソコンなどに専用ソフトをインストールして使用するソフトフォンを指します。
パソコンにヘッドセットを接続して利用できるため、専用の電話機が不要。コールセンターにおすすめのヘッドセットを知りたい方は、以下の記事をチェックしてくださいね。
SIP電話とIP電話の違い
SIP電話とIP電話は、いずれも「IP(インターネット・プロトコル)」を使って音声通話をするシステム。
IP電話のひとつとしてSIP電話を利用するケースが増えていますが、 IP電話はSIP以外のプロトコルも使用できるため、双方の関係はイコールではありません。
SIPは柔軟なプロトコルであり、異なるベンダーやプラットフォーム間で相互運用性を提供するのに対し、独自のプロトコルを使用したIP電話は相互運用性が制限される可能性があります。
IP電話については、以下の記事をご覧ください。
SIPサーバーとIP-PBXの違い
コールセンターでIP電話を使用する場合、「SIPサーバー」や「IP-PBX」といったサーバーが必要です。
いずれもVoIPに活用されている技術であり、連携させて使用するケースも多いですが、役割や適用範囲に以下のような違いがあります。
SIPサーバー | IP-PBX | |
---|---|---|
発祥 | サーバーに電話機能を追加したもの。 | PBX(電話交換機)をIP対応させたもの。 |
役割や機能 | 端末の電話番号やIPアドレスなどの記録・検索や、IP電話で使うデータを管理し、発信者と通話先との発呼情報の仲介(呼制御)を行う。 | IP電話機の回線交換を行う機器。自動応答・着信自動分配・転送・ 保留・録音など、コールセンターに不可欠な機能を提供する。 |
適用範囲 | ビデオ通話、インスタントメッセージング、プレゼンス情報(オンライン/オフラインといった個人やデバイスの状態情報)など、リアルタイムコミュニケーション全般に使用される。 | 音声通信に特化したシステム。 |
IP-PBXには電話交換の機能があるため、SIPサーバーを用いなくても電話自体は可能です。しかし、IP-PBXにSIPを用いることで、IPアドレスではなく電話番号の情報での発着信が容易になるという利点があります。
また、SIPだけで高度なACD(着信呼自動分配装置)を提供するのも難しいため、やはりIP-PBXと組み合わせて使うケースが多いです。
SIP電話のメリット
SIPのメリットは、以下の4点です。
- 経費削減につながる
- 設置場所を選ばない
- システムに接続しているユーザーやデバイスの状態がわかる
- 拡張性が高い
経費削減につながる
以下のような理由から、SIP電話の導入はコールセンターの経費削減につながります。
・固定電話機のような端末の購入費や設置工事が不要なので、導入コストが低い
・電話回線を利用した場合に比べ、通話料が安い
(同じSIPサーバーに繋がるSIPフォン同士は内線電話として扱われ、通話は無料)
・専用の電話システムをオフィス内に構築する必要がないので、移転時の費用が削減される
設置場所を選ばない
SIPは専用の電話システムが不要なので、インターネット環境さえあれば自席にいなくても電話を利用できます。
拠点を増やす場合や、在宅勤務を推進する際にとても便利です。
システムに接続しているユーザーやデバイスの状態がわかる
SIPの機能により、システムに接続しているユーザーあるいはデバイスの状態が分かります。
そのため、他拠点や在宅勤務といった目が届かない場所にいるオペレーターでも、配置や管理がスムーズに行えます。
拡張性が高い
インターネットやITツールとの親和性が高いため、様々なシステムやアプリケーションと手軽に連携できます。
これにより、音声通話に限らず、ビデオ通話・チャット・ファイル共有など、様々なチャネルのサポートがスムーズになります。
アカウントの増加も容易なので、突発的なイベントにより問い合わせが急増した場合にも、速やかに対応可能です。
SIP電話のデメリット
SIPのデメリットは、以下の2点です。
- インターネット環境がないと使えない
- 使えない電話番号がある
インターネット環境がないと使えない
SIP電話は、インターネット環境がないと使用できません。
また、インターネット環境が不安定だと通話にタイムラグが生じたり、途中で切れたりする恐れがあるため、注意が必要です。
複数の回線を契約しておく、QoS(Quality of Service)設定を見直すなど、自社のインターネット環境を強化する対応をとりましょう。
ネットワーク機器が行うデータの伝送を制御し、重要なデータの通信に遅延を発生させない技術のこと。
QoSを実装しない場合、ネットワークの混雑時に優先データの取捨選択ができなくなり、データの送受信に遅延などの問題が生じやすくなる。
使えない電話番号がある
SIP電話は、以下の電話番号に対応していません。
・フリーダイヤルやフリーコールのように企業側が通話料を負担するサービス
・110や119といった緊急ダイヤル
緊急時にはスマホを使用することになりますが、データ漏洩を防ぐために、スマホの持ち込みを禁止しているコールセンターも多いでしょう。いざという時にパニックに陥らないためにも、「緊急時はSVがスマホで通報」など、対処方法を明確にして周知しておきましょう。
まとめ
SIPは現代のコミュニケーションにおいて重要な役割を果たし、コールセンターの在り方を変えてきました。
SIP電話の導入を検討中の方は、SIPプロバイダーが提供する無料トライアルを活用し、ぜひ自社に合ったサービスを見つけてください。
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