内見希望や契約更新、設備の故障、他社からの営業など、日々多くの電話が入る不動産業界。人手不足の中、「電話対応に時間をとられ、コア業務の営業に集中できない!」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、電話業務を効率化する電話DXについて解説します。
そもそもDXとは
DX(Digital Transformation)とは、直訳すると「デジタルによる変容」。2004年にスウェーデンのウメオ大学に所属するエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、ITの浸透により社会や人々の生活が変化することを意味しています。
日本においては、2018年12月に経済産業省が「産業界のデジタルトランスフォーメーション推進施策」を発表し、DXを次のように定義づけています。
将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変すること
よく似た言葉に「IT化」がありますが、こちらはアナログな方法で進めていた業務をデジタルに置き換えていくことを指します。つまり、DXという”変革”を果たすための”手段”がIT化です。
不動産業界におけるDXの取り組み状況
では実際のところ、不動産業界ではどれくらいDXが進んでいるのでしょうか?
2022年1月に帝国データバンクが実施した調査によると、不動産業界で「DXの言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業の割合は、13.0%。
他の業種と比較しても、DXが進んでいない状況がわかります。
2021年に総務省が行った調査でも、不動産業・物品貸与業の企業で「DXを実施していない、今後も予定なし」と回答した割合は、56.0%でした。つまり、半数以上がDX化に消極的な姿勢を見せているのです。
出典:企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題/総務省こうした数字からも分かるように、不動産業界はDXに遅れをとっています。業界特有のアナログな作業が常態化し、書類や電話、FAXでのやり取りを重視している企業が多いのが現状です。
不動産業界に電話DXが必要な理由
一言にDXと言っても、電子契約や予約システムなど導入の手法は様々です。
そこで「まずは少ないコストで効果を感じたい」という方にお勧めなのが、電話業務を自動化・効率化する「電話DX」。なぜなら、不動産業界で頻繁に発生する内見予約や問い合わせといった電話業務の負担を軽くできる上に、顧客満足度の向上につながりやすいからです。
特に、以下のような悩みを抱えている企業なら、電話DXの効果を感じやすいでしょう。
・外出中の担当者に電話を取り次げず、コールバックが溜まりがち
・休日や営業時間外の電話対応に困っている
・受電時にお客様情報を確認するのに時間がかかる
・同じ内容のお問合せが多い
・管理会社への取り次ぎが多い
・電話が入る度にコア業務の手が止まってしまう
電話業務をDX化するメリット
電話業務をDX化するメリットは、主に以下の3点です。
- 業務効率化
- 顧客満足度の向上
- リモートワークに対応
業務効率化
電話対応をDX化すると以下のような業務が自動化され、業務効率化につながります。
・よくある質問への回答
・営業時間外の予約の受付
・担当者や管理会社への取り次ぎ
・顧客との会話の記録
・顧客情報の管理
また、不要な営業電話が入らないようにしたり、一次受付時のヒューマンエラー(連絡先の聞き間違え、不在メモの渡し忘れ等)をなくしたりできるため、その分コア業務に集中でき、生産性の向上も期待できるでしょう。
人手不足が問題になっている不動産業界では、このような業務効率化が急務です。
顧客満足度の向上
電話のDX化を進めることで顧客側の利便性も高まり、顧客満足度の向上につながります。
電話DXで顧客の満足度が上がる理由は、主に以下の3点です。
・営業時間外でも内見の予約や問い合わせができる
・電話口で待たされる時間が減る
・電話応対の品質が平準化する
また、システム上に顧客データが蓄積するため、分析してサービスの改善に役立てることも可能です。顧客のニーズに合ったサービスが提供できるようになり、さらなる満足度の向上が期待できます。
リモートワークに対応
電話DXは、リモートワークでこそ真価を発揮します。
インターネット環境さえあれば、どこにいても会社にかかってきた電話に出ることができ、同様に会社の代表番号で発信することが可能です。スマホやパソコンにアプリをインストールするだけで、会社の電話機のように使用できるのです。そのため、外出先から顧客へ電話する際、「知らない番号だから」とスルーされてしまうことも減少します。
また、リモートワークの環境を整えることで、人材確保や緊急事態が発生した際の業務継続にも役立ちます。
電話業務をDX化するデメリット
電話業務をDX化するデメリットには、以下の2点があります。
・操作に慣れるのに時間がかかる
コストがかかる
電話DXのためにシステムやツールを導入するには、コストがかかります。
そのため、近年ではコストが低いクラウド型電話システムが人気です。アカウント登録を行うだけで利用できるので、物理的な装置は不要。安いものなら月額5,000円~1万円程度で導入・運用できます。
一般的に機能や利用人数が増えるほど月額料金も高額になっていくため、自社にとって必要な機能をよく見極め、コストが膨らみ過ぎないように気をつけましょう。
操作に慣れるのに時間がかかる
電話DXのシステムには直観的に操作できるものが多いものの、人によっては操作に慣れるまでに時間がかかるかもしれません。
そのため、導入の際には以下のようなポイントを押さえておきましょう。
・トライアル期間を利用してシステムの使いやすさを確認する
・操作に関するFAQやサポートが充実しているシステムを選ぶ
・システムの操作方法について勉強会を開く
不動産業界における電話DXの成功例
最後に、電話DXを推進した会社でどのような変化が起きたのかを見ていきましょう。
以下の2社の事例をご紹介します。
・リフォーム会社S
・不動産管理会社B
リフォーム会社S
リフォーム会社Sは、IVRと呼ばれる自動音声応答システムを導入し、すべての着信を自動で受け付けするようにしました。
その結果、担当不在時に手作業で行っていた伝達が不要になり、用件はすべて自動メールで届くように。録音データやテキスト化された内容もメールに記載されているため、報連相にかける時間やヒューマンエラーが削減されました。
また、自動メールを受け取った後には必ず担当者から折り返しの連絡を入れ、お客様との関係性を構築しています。電話の一次受けを効率化することで、お客様とのコミュニケーションにより集中できるようになりました。
不動産管理会社B
マンスリーマンションを運営する不動産管理会社Bは、もともと電話代行会社に委託していた問い合わせ対応をIVR(自動音声応答システム)に切り替えました。
外部に委託していた時は電話の内容を自由にカスタマイズできず、お客様の名前と電話番号以外は聞き取り不可だったのに対し、IVRシステムはカスタマイズ自由なので希望のマンションや日付といった必要情報の聴取が可能。空室状況を把握した状態でコールバックできるため、お客様にとっても便利になりました。
また、電話代行会社からの連絡を受けて折り返し電話をかけると、番号が違うためお客様に電話をとってもらえないという問題も解消しました。お客様とつながりやすくなり、業務効率もアップしています。
まとめ
電話DXについて理解が深まったでしょうか?
導入を検討しようと思った方は、まず自社の課題を洗い出してみましょう。課題がはっきりすると、どんな電話システムが必要なのかが分かるはずです。
もし「どうやって課題を見つければ良いか分からない」という場合は、経済産業省が提供する『DX推進指標自己診断フォーマット』の活用をおすすめします。
IPAの以下のサイトにて、詳しい活用方法をチェックしてください。
「CallConnect」は、クラウド型の電話システムです。
リモートワークでの利用もでき、IVRで適切な部署へ電話を振り分ける機能など、不動産業界のDX推進に貢献します。不動産業界でサービスを展開しているイタンジ株式会社の事例も是非チェックしてみてください。