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2022.12.07
インサイドセールス部門の立ち上げ手順とは?注意すべきポイントを解説

感染症の流行もあり、従来の訪問型営業や商談を行う企業が少なくなりました。

そこで注目を集めているのが、電話やメールなどを活用し営業のアポイント獲得やWebツールを用いた商談を行うインサイドセールスです。

インサイドセールスの流行に乗って、多くの企業で「インサイドセールス部門」を新規で立ち上げる動きが加速しています。しかし、「立ち上げ手順がわからない」「立ち上げたのはいいものの運営がうまくいかない」など、問題も少なくないようです。

そこで今回は、インサイドセールス部門を立ち上げる際の手順と、その際に注意すべきポイントを解説します。

インサイドセールスが注目されるに至った背景も説明しますので、なぜ多くの企業が導入を進めているのかあわせて理解しましょう。

インサイドセールスが注目されるようになった背景

インサイドセールスが注目されるようになった理由はさまざまですが、今回はそのなかから「サブスクリプション型サービスの台頭」「働き方の多様化」の2つについて解説します。

サブスクリプション型サービスの台頭

サブスクリプションとは、月額制で料金を支払うことで利用できるサービス形態のことです。例をあげると、音楽ストリーミングサービス「Spotify(スポティファイ)」、会員になることでさまざまな恩恵を受けられる「Amazonプライム」などが有名です。

サブスクリプション型サービスは月額料金が定期的に発生するものの、従来の売り切り商品と比べ値段が安価であり、かつすぐにサービスを利用できるという点から、クラウドサービスを中心に利用者が拡大しています。

このような時代背景のなか、インサイドセールスが注目されるようになった理由が「営業担当者の負担が増加したから」です。

サブスクリプション型サービスは常にアップデートが行われるため、営業担当者はいつでも新しい知識を身につけておく必要があります。また、従来は売り切り製品のような高額取引を行う場合、取引先企業の担当部署とのみ商談を行うのが一般的でしたが、サブスクリプション型サービスの台頭により、取引先企業内のさまざまな部署から同時に問い合わせが来るという事態も発生しています。

これらの理由から、既存顧客ならびに新規顧客からの問い合わせに対して柔軟に対応できるインサイドセールスの需要が高くなっているのです。

働き方の多様化

インサイドセールスが注目されるようになった背景の2つ目に、働き方の多様化があげられます。

ここ数年は新型コロナの感染拡大の影響もあり、従来通りの訪問型営業が避けられるようになりました。そのため、別の営業方法として注目を集めたのがインサイドセールスです。

インサイドセールスであれば訪問でのやり取りは不要であり、そのほとんどを電話やメール、Webツールを活用することで完結できます。そのため、感染症対策などを考えるうえでも企業側にとってメリットがあります。

さらに、インサイドセールスの流行に拍車をかけているのが在宅勤務の増加です。

総務省が発表している「令和3年版情報通信白書」によると、2021年3月1日~8日時点での在宅勤務(テレワーク)率は、大企業で69.2%、中小企業で33.0%と過去最高となっています。

・出典:「令和3年版情報通信白書(総務省)

また、出社から在宅勤務に変更された会社員だけでなく、“子育てや介護が大変で働きに出られなかった”、“理由があり転勤しなければならない”など、さまざまな理由で在宅勤務を希望する労働者は少なくありません。

インサイドセールスはほぼすべての業務を在宅で行えるため、このような労働者のニーズにうまくマッチしているといえます。近年では企業側も働き手不足解消のため、在宅ワーカーを積極的に採用していることから、今後さらにインサイドセールス業務の志望者が増えていくと考えられます。

インサイドセールス部門の立ち上げ手順と注意すべきポイント

インサイドセールス部門を立ち上げる際の手順は、「①注力する製品・サービスを決める」「②シナリオの設計」「③各種KPIの設定」「④人材の確保・育成」「⑤ツールの選定・導入」の流れになります。

① 注力する製品・サービスを決める

インサイドセールスを実施するにあたって注力する製品・サービスを選定します。立ち上げ初期は複数の製品・サービスを同時に扱うのは大変なので、できる限り絞り込むのがポイントです。

この際、インサイドセールスが行う業務範囲を決めておくことも忘れてはいけません。例えば、顧客の抱える課題やニーズを聞き出すまではインサイドセールスが対応、それ以降はフィールドセールス(営業担当者)が対応する、といった具合です。

これにより、インサイドセールス部門と営業部門の立ち位置が明確になり、それぞれが担当業務に集中できるようになります。

② シナリオの設定

シナリオとは、顧客に対するアプローチを「なにを」「いつ」「どうやって」提供していくのかという一連の流れを指します。

事前にシナリオを設定しておかないと方向性が定まらず、なかなか成果をあげられません。まずは顧客がどのような情報を求めているのか検討するところからはじめるとよいでしょう。

顧客に提供する情報の例として有効なものは以下のとおりです。

・各種情報をまとめたコラムやブログ

・導入実績や事例

・実際に導入した顧客のインタビュー

・無料トライアルへの招待

・各種キャンペーン情報 など

はじめは簡単な情報から提供していき、顧客の温度感があがってきたタイミングでより詳細な情報を提供するのがおすすめです。

③ 各種KPIの設定

立ち上げ初期に設定するKPIは、質より量を最優先に設定するのがベストです。というのも、立ち上げて間もない頃はできるだけ回数をこなし、実践的なデータを収集するのが最も重要だからです。

設定するKPIは多くの企業で採用されている、「商談化数」「受注率」「架電数」「通話時間」「メール開封率」などからスタートし、自社の目的に沿った項目を増やしていくのがよいでしょう。

ただしKPIを定める際は、「実現可能な数字にする」「解釈が人によって変化しない項目内容にする」という点を守って設定するようにしてください。

④ 人材の確保・育成

インサイドセールス部門の立ち上げは、できるだけ少人数からはじめるのがポイントです。その理由として、いきなり大規模にはじめてしまうと、正常な運営に必要な人材の確保や育成が難しくなるためです。

社内で人材を確保できない場合は、求人を出して経験者を採用するのも一つの手段だといえるでしょう。

ただし、インサイドセールス部門の管理職は高いマネジメント能力が要求される役職のため、過去に営業部門で管理職として働いた経験を持つ人材が望ましいといえます。

ツールの選定・導入

最終的なステップとして、インサイドセールス部門を支える各種ツールの選定・導入を行います。

インサイドセールス部門を正常に運営するためには、顧客とのコミュニケーションで日々蓄積されるデータや記録の保存・管理が必要です。また、営業やマーケティングなど、他部門との連携をスムーズに運ぶうえでもツールは重要な役割を持っています。

インサイドセールスで用いられる代表的なツールとしては、マーケティングを手助けしてくれる「MA」、営業活動の管理・分析に特化した「SFA」、顧客情報の蓄積や管理を行う「CRM」があります。

基本的な機能は同じですが、サービス事業者によってオプション機能などが変わってくるため、よく検討したうえで自社にあったツールを選びましょう。

インサイドセールスを自社または外注で運営する際のメリット・デメリット

インサイドセールス部門を運営する方法には、「自社運営」と「外注」があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、そのなかからいくつかをご紹介します。

自社運営のメリット・デメリット

自社運営のメリット・デメリットは以下のとおりです

≪自社運営のメリット≫

  • 運営ノウハウが自社に蓄積される
  • 立ち上げや運営に必要なコストを抑えられる
  • 自社製品やサービスに詳しい担当者が対応できる
  • セキュリティが外注より堅固になる

≪自社運営のデメリット≫

  • 立ち上げ自体が難しい
  • 人材育成や設備投資にコストがかかる

≪解説≫

自社でインサイドセールス部門を運営する大きなメリットは、自社に運営ノウハウが蓄積されていくことです。中長期的な部門運営を考えているなら、自社運営による部門立ち上げがおすすめです。

ただし、自社運営で部門立ち上げをする場合、インサイドセールスに関するノウハウが一切ない状態だと、立ち上げ自体が難しいという側面もあります。近年ではインサイドセールス経験者を対象とした求人数も多くなっているため、実務経験者を雇い入れる際の競争倍率も高くなっています。そういった点から、自社運営の新規立ち上げは難しいといわれているわけです。

外注のメリット・デメリット

外注した際のメリット・デメリットは以下のとおりです。

≪外注のメリット≫

  • インサイドセールスのプロが業務を代行してくれる
  • 業務の拡大、縮小が容易にできる
  • 人件費などの諸コストを抑えられる

≪外注のデメリット≫

  • 自社にノウハウが蓄積されない
  • 外注先との調整がその都度必要となる
  • 自社製品やサービスの教育をしなければならない

≪解説≫

外注でインサイドセールス部門を運営するメリットとして、インサイドセールスを知り尽くしたプロが業務を代行してくれる点があげられます。外注業者はこれまでの経験からさまざまなノウハウを持っているため、自社運営では対応が難しい内容もスムーズに行ってくれます。

一方で、運営すべてを外注化すると自社にノウハウが蓄積されません。将来的に完全自社運営を考えているのであれば、自社運営をしつつ一部外注するという方法を考えてもよいでしょう。また、外注先担当者との調整が都度必要になるため、コミュニケーションコストが増えるというデメリットを考慮しなければなりません。

自社での立ち上げが難しい場合は外注も視野に入れた運営を

今回はインサイドセールス部門を立ち上げる際の手順と、そのときに注意すべきポイントを解説しました。

インサイドセールス部門を一から自社で立ち上げるのは大変なので、難しそうであれば外注で対応するという方法も視野に入れてよいでしょう。

自社運営、外注それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自社にあった部門運営の方法を選択できるようにしておきましょう。

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