コールセンターの人手不足が叫ばれて久しいですが、不足しているのはオペレーターだけでなく、SVや管理者も同じです。
そのためオペレーターの育成に手が回らず、現場が疲弊。離職によって更なる人手不足に陥るという悪循環が危惧されています。
そこで本記事では、オペレーターの育成に関して自動化できる以下4項目についてご紹介。オペレーター育成を効率化するとともに、質の向上につながる術を探ります。
- 初期研修
- ロールプレイング
- メール対応
- 応対品質の評価とフィードバック
初期研修
多くのコールセンターでは、入社間もない時期に、座学で以下のような内容を教わります。
・会社の理念
・オペレーターの心構え
・商品やサービスに関する知識
・適切な言葉遣いや応対姿勢
・個人情報の扱い方
より詳しく知りたい方は、以下の記事もご一読ください。
▶コールセンターの研修の進め方。 押さえるべき内容は? - CallCenter Times(コールセンタータイムズ)
従来、こうした初期研修ではSVや社員が講師役を務めるので、スキルの高いメンバーが新人に付きっ切りになり、通常業務に遅れがでるという問題がありました。
そのため、最近では動画を活用したオンライン研修にシフトしつつあります。
研修動画を作成する方法は、主に以下の2通りです。
・動画制作会社に依頼する
・動画作成ツールを利用して自社で作る
研修動画の作成に特化したツールを使えば、動画作成が未経験の方にも比較的簡単に作成できます。ツールによっては、動画の理解度をチェックするテストを作ることも可能です。
また、動画のURLを共有することで、新人オペレーターが繰り返し視聴できる点も大きなメリットでしょう。講師役から「前に言ったよね?」と言われるのが怖くて質問を躊躇してしまう新人も、動画を見直せば自力で疑問を解決できます。
もちろん、講師役の負担も軽減するので、Win-Winですね。
ロールプレイング
研修でロールプレイングを行う場合、顧客役とオペレーター役に分かれて訓練するのが一般的です。
しかし、以下のような課題がつきまとうため、初期研修以外ではロープレは行わないというコールセンターも多いのではないでしょうか?
・基本的に1対1で行うため、大人数に対応できない
・顧客役とオペレーター役の2人で行うと、客観的な評価ができない
・会話が予定調和になり、実践的でない
・評価の基準が曖昧で、フィードバックに対する納得感が低い
・時間を要するため、頻繁に実施できない
そこで生まれたのが、生成AIを利用してロープレとその評価を自動で行う研修用のツールです。社内ナレッジやFAQのデータをチューニングし、AIが顧客役となって自動音声で質問します。さらに、AIとオペレーターが交わした会話の内容は文字起こしされ、AIによって自動評価されるため、客観的な評価が可能です。
研修にあたるSVや社員の負担が軽減するだけでなく、時間や場所に縛られずオペレーターひとりでロープレができるため、在宅勤務で受講可能なのも嬉しいポイントです。
メール対応
”コール”センターというものの、近年ではメールやお問い合わせフォームといったテキストでのコミュニケーションの割合が増加。多くのコールセンターが以下のような課題を抱えています。
・返信に時間がかかり過ぎる
・誤字、脱字
・文章作成のスキルが低く、内容が分かりにくい
・表現によって顧客に誤解を与える可能性がある
・研修等でオペレーターの文章作成能力を伸ばすのが難しい
こうした課題に悩んでいるコールセンターには、生成AIによるテキスト返信業務の自動化がおすすめです。
上図の通り、AIが回答の定型文や社内情報を参照して、自動で返信文の下書きを作成。オペレーターは下書きに間違いがないかを確認して送信するだけなので、新人でも必要最低限の知識で対応が可能になります。
他にも、以下のような機能によってメール対応のスピードと正確性の向上が期待できます。
・AIの改善要望を打ち込むことで、より質の高い下書きが生成される
・オペレーターが書いた文章の誤字や表記ゆれをチェックして置換候補を提案
・営業時間外にも下書きを作成し、営業開始とともに返信できるようにする
このようにメール対応の負担が減ると新人オペレーターの活躍の幅が広がり、早期離職の抑制にもつながります。
応対品質の評価とフィードバック
コールセンターの応対品質評価については、以下のような課題が顕在化しています。
・応対の質を上げたいが、適切に評価・フィードバックができるSVが足りない
・応対品質の評価に時間がかかり過ぎるため、頻繁に行えない
・適切なサンプルを評価できているのか分からない
・評価基準が不透明で、納得感がない
こうした課題を解決するには、以下2通りの自動化が有効です。
方法② 応対品質評価システムを導入する
方法① 音声認識を導入する
コールセンターにおける「音声認識」とは、顧客とオペレーターの通話内容を解析して、文字に変換する仕組みのことです。
以下、いずれかの方法で利用することができます。
・電話ツールやCRMと音声認識システムを連携させる
・通話を録音した音声データを音声認識システムに読み込む
応対品質を評価するには、SVがオペレーターの応対をモニタリングするのが一般的です。この時に音声認識によって文字起こしされたテキストを読めば、音声データを聞いてモニタリングしていた頃の約3分の1まで所用時間が削減されると言われています。
多くのチェック項目をうめるために、何度も巻き戻して聞き直す、といった手間がなくなるので、SVの負担がぐっと軽くなりますね。
また、SVからフィードバックを受けるオペレーターも、自分の応対が文字として見える化されることで、口癖や言葉遣いの誤りなど、問題点に気がつきやすくなります。
方法② 応対品質評価システムを導入する
コールセンターにおける「応対品質評価システム」とは、AIが応対内容を自動で評価し、レポートを作成する仕組みのことです。上図の通り、「音声認識による文字起こし」「AIによる評価」「評価結果の提示」という一連の流れが自動化されるので、応対品質評価が大幅に効率化されます。
評価項目や基準は、会社やチームごとにカスタマイズが可能。音声認識による文字起こしだけではカバーできない「話す速さ」「声の明るさ」「沈黙時間」などを評価できるシステムも開発されています。
また、キャリアを重ねたオペレーターの場合、「SVよりも機械からフィードバックを受けた方が、自身の改善点を客観的に受け止められる」という傾向もあるようです。評価項目や基準が透明化されるため、評価に対する納得感が高まるというのも大きなメリットですね。
まとめ
オペレーター育成の自動化について、理解が深まったでしょうか?
自動化についてより詳しく知りたい方は、各種ツールの公式サイトにて、資料請求や無料トライアルのお申し込みをおすすめします。必ず、複数のツールを比較検討し、自社の予算や業務に適したものを選択しましょう。
また、コールセンターにおける定型的業務の自動化には、RPAも活用されています。RPAについて知りたい方は、ぜひ以下の記事もご一読ください。