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2024.07.05
【障がい者雇用】守るべきルールやコールセンターでの業務例を紹介

障がい者雇用とは、障がい者の職業の安定や共に働くことが当たり前の社会を目指し、厚生労働省が推進している制度です。民間企業は法律に定められた雇用率に従い、自治体が発行する「障がい者手帳」を所有する方を雇う義務があります。
しかし、いざ採用しようと思っても、何から始めてよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、障がい者雇用で知っておくべきルールや流れ、職務内容の例などについて解説します。

守るべき障がい者雇用のルール

「障害者雇用促進法」では、障がい者雇用について以下6つのルールを定めています。
障がい者雇用を始める前に、必ず理解しておきましょう。

障がい者雇用の6つのルール
・「障害者雇用率制度」の履行
・「障害者雇用納付金制度」
・「合理的配慮」の提供義務
・「障害者職業生活相談員」の選任
・障がい者雇用に関する届出
・障がい者に対する差別の禁止と虐待の防止 

「障害者雇用率制度」の履行

「障害者雇用率制度」とは、企業が雇用する障がい者の人数を定める制度です。
令和6年6月時点では、民間企業の法定雇用率は2.5%。従業員を40人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用することが義務づけられています。
雇用義務を履行しない場合は、ハローワークから行政指導が入るので、注意が必要です。

「障害者雇用納付金制度」

参考:障害者雇用納付金制度の概要

「障害者雇用納付金制度」とは、雇用する障がい者の人数が法定雇用率に達していない場合、不足人数に応じた金額を納めることを定めた制度です。
障がい者を雇用すると、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理など、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担が発生します。そのため「障害者雇用率制度」を遵守している事業者との公平を図るために、法定雇用率を未達成の企業のうち常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金が徴収されるのです。
この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、調整金や報奨金が支給されます。

「合理的配慮」の提供義務

「合理的配慮」とは、障がい者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合に、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のことです。
事業主は、募集・採用にあたり障がい者からの申出があれば、障がいの特性に配慮した措置を講じなければなりません。
また、採用後も障がい者である労働者の能力発揮の支障となっている事情を改善する義務があります。
ただし、事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合は、この限りではありません。

「障害者職業生活相談員」の選任

「障害者職業生活相談員」とは、障がい者の職業能力の向上や職務内容、労働条件などについて相談を受ける存在です。
障害者を5人以上雇用する事業所では、障害者職業生活相談員を選任し、障がいのある従業員の職業生活に関する相談・指導を行わせなければなりません。

障がい者雇用に関する届出

障がい者を雇用する事業主は、以下2種類の届出を行わなければなりません。

障害者雇用状況報告
 従業員40人以上の事業主は、毎年6月に障がい者の雇用状況をハローワークに
 報告する義務があります。
解雇届
 障害者を解雇しようとする事業主は、その旨を速やかにハローワークに
 届け出なければなりません。

障がい者に対する差別の禁止と虐待の防止 

事業主は、募集・採用の機会や採用後の待遇について、障がい者に対し不当な差別的扱いをしてはなりません。

また、障がい者に対する虐待を防止するため、以下のような措置を講ずることが必要です。
・従業員研修の実施
・障がい者や家族からの苦情処理体制の整備

 

障がい者雇用のルールについてより詳しく知りたい方は、「事業主の方へ|厚生労働省」を参考にしてください。

障がい者雇用の流れ

初めて障がい者雇用に取り組む場合は、以下のように段階的な流れで進行しましょう。

障がい者雇用の流れ
1.障がい者雇用への理解を深める
2.配置部署や職務内容を選定する
3.受け入れ体制を整え、労働条件などを決める
4.採用活動を行う
5.職場への定着を図る

1.障がい者雇用への理解を深める

まずはハローワークなどの支援機関へ相談することで、障がい者雇用への理解を深めましょう。
ハローワークでは、障がい者雇用のノウハウが不足している事業主に対して、以下のような場を提供しています。
・障がい者雇用に関する事業主向けセミナー
・特別支援学校の実習の見学
・障がい者の職場実習の受け入れ
・障がい者トライアル雇用の実施
障がい者と共に働くイメージが湧きづらい方は、こうした支援を活用することをおすすめします。

2.配置部署や職務内容を選定する

社内で検討したり、支援機関からの提案・助言を受けたりしながら、部署や職務を選定します。
今ある業務そのままだと、対応できる人材はいない気がしてしまうかもしれません。まずは従業員一人ひとりが担当している業務を細分化し、スモールスタートするつもりで検討しましょう。
コールセンターにおける職務内容の例は、次の章でご紹介します。

3.受け入れ体制を整え、労働条件などを決める

オフィスのバリアフリー化を進め、障がい者の受け入れ体制を整えましょう。
高齢・障害・求職者雇用支援機構では、障害者の就労を支援する機器をホームページにで紹介しています。一定期間(原則6か月以内)、機器の無料貸出も行っているので、適宜活用しましょう。
また、採用後の指導担当者の選任や労働条件(採用時期、人数、部署、職務、雇用時間、給与など)も決めておく必要があります。

4.採用活動を行う

自社サイトへの掲載はもちろん、ハローワーク、民間の職業紹介業者、学校などに求人を申し込み、募集をスタートします。
採用面接では、以下のようなポイントを確認するようにしましょう。

<採用面接で確認すべきポイント>
・障がいの内容や現在の症状
・通院や治療の状況
・想定する職務内容がどこまでできるか
・必要な合理的配慮の内容

5.職場への定着を図る

採用者が決定したら、職場への定着を図ります。
事前に決めておいた担当者を中心に、業務を無理なく行えるようフォローアップを行いましょう。
想定外の事でつまづき、解決策に悩んだ場合には、ジョブコーチと呼ばれる職場適応援助者に、障がい者が力を発揮しやすい作業の提案や障がい特性を踏まえた仕事の教え方のアドバイスを求めることをお勧めします。
より詳しい情報は、以下のサイトをご覧ください。
職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について |厚生労働省

コールセンター障がい者雇用における職務内容の例

障がい者がコールセンターでできる業務は、多岐にわたります。障がいの種類や程度に応じて、適切なサポートや環境整備が行われることで、多様な業務を担当できます。
以下の例を参考に、障がい者雇用の職務内容を検討してみてください。

<コールセンター障がい者雇用における職務内容の例>
・電話応対や注文受付
・メール対応
・チャットサポート
・音声データのモニタリング
・FAQの作成
・SNS対応
・データ入力や管理
・アンケート調査や市場調査
・資料や報告書の作成

先述の通り、業務は細分化してスモールスタートした方が安心です。
例えば電話応対なら、IVRで振り分けられたコールのうち、簡単なトークスクリプトで対応できるものに絞って応対、慣れてきたら範囲を広げる、といった流れで進めましょう。

コールセンター業務における障がい者への配慮の例

本章では、以下のとおり障がい者に対する配慮の例をご紹介します。

ここで書かれているものは、あくまでも一例です。
実際には、採用面接や採用後の面談を通じてその方の意思を確認し、適宜合理的な対応をとりましょう。

まとめ

コールセンターでの障がい者雇用について、イメージが湧いたでしょうか?
社会的な取り組みとして障がい者雇用が推進されていても、実務を担う従業員の間では「お願いできる仕事が限られる」「どう接して良いのか分からない」といったネガティブなイメージを抱きがちです。
しかし、障がい者雇用によりコア業務に集中できるようになったり、手が回っていなかった業務を担ってもらえたりと、成功している事例も多く存在します。
この記事が、多様な人材が活躍できる職場環境について考えるきっかけになれば幸いです。

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