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2023.05.19
コールセンターの適正な人員数とは?アーランC式を用いた算出手順を解説

コールセンターの運営において、適正な人員の配置は不可欠です。

オペレーターの数が多過ぎると人件費がかさみ、反対に少な過ぎれば顧客の問い合わせに対応できず、会社の評価が下がってしまいます。

そのため、人員配置の適正化は管理者にとって非常に重要な仕事です。しかし、コールセンターの業務量は季節や時間帯によって変動するため、一筋縄ではいきません。苦手意識を持っている管理者の方も多いはずです。

そこでこの記事では、コールセンターにおける適正人員数の算出方法についてご説明します。

自動で適正人数を計算してくれる「WFMシステム」についても紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。

コールセンターにおける適正人員数の算出方法

コールセンターにおける適正人員数を算出する手順は、以下のとおりです。

コールセンターにおける適正人員数を算出する手順

1.呼量予測を行う
2.アーランC式で計算
3.放棄呼率を考慮する
4.実働人数と在籍人数のバランスを見る

1.呼量予測を行う

コールセンターへの問い合わせ数は、季節や時間帯などによって変動します。

そのため、あらかじめ呼量を予測し、人員が多く必要な時期とそうでない時期を見極めておく必要があるのです。

呼量を予測する際に考慮すべき要素には、以下のようなものがあります。

<呼量予測で考慮すべき要素>
・過去の呼量データ
(前年の呼量、季節・曜日・時間帯での呼量の変化、最近のトレンドなど)
・新商品やキャンペーンなどのリリース
・イベント
・台風や地震などの天災
・会員数
・メルマガ配信日 etc…

過去のデータから呼量の「平均値」や「成長曲線」を導き出した上で、季節要因やトレンド要因を反映させるのが基本の予測方法です。

例えば、新商品のリリース直後に呼量が増える傾向がある場合、次回のリリース時期の予測には呼量の平均値にプラスして入電すると見立てる必要があるでしょう。
より詳しく知りたい方は、ネットで「コールセンター 呼量予測」と検索するとエクセルを使った算出例が見つかるので、ぜひ参考にしてみてください。

2.アーランC式で計算

次に、アーランC式を用いて適正人員数を計算します。

<アーランC式とは>
呼量予測を元に、必要なオペレーターの数を求める計算式。
実際の式は以下のとおり。

P(>0) = {{\frac{A^N}{N!} \frac{N}{N - A}} \over \sum_{x=0}^{N-1} \frac{A^x}{x!} + \frac{A^N}{N!} \frac{N}{N - A}}
参考:アーラン - Wikipedia

自力で計算するのは困難なので、ホライゾンBPCが提供する「アーラン計算機」の活用をお勧めします。

以下の4点を入力した上で「計算」をクリックすれば、サービスレベル(電話の繋がりやすさ)を保つのに必要な人員数が表示され、非常に便利です。
  • 1時間あたりの着信呼数(10~999呼の入力が可能)
  • 1呼当たりの処理時間(保留や後処理を含む、30~999秒の入力が可能)
  • 目標の応答時間(10,20,30,60,90,120秒の選択が可能)
  • 要員数(6~300人の入力が可能)

サービスレベルは、一般的に20秒以内に80%以上の電話に応対することを基準にします。

例えば、
・1時間あたりの着信呼数:200件
・1呼当たりの処理時間 :360秒
・目標の応答時間     :20秒
・要員数         :20人
と入力すると、サービスレベル80%を超えるためには25人のオペレーターが必要だと分かるでしょう。

25人の配置なら、オペレーターの忙しさを表す要員占有率も80%前後に抑えられます。

3.放棄呼率を考慮する

アーランC式では、オペレーターに繋がる前に切られた電話は考慮されません。

より詳しく言うと、アーランC式は「待ち行列」という理論を下敷きにし、電話が繋がるまで顧客が待ち続ける前提で数値を導き出します。つまり、放棄呼率0%で計算されているのです。

しかし、現実では顧客が電話口で待ち続けるとは限らず、長時間待たされた顧客は繋がる前に電話を切ってしまいます。

そのため、普段から放棄呼率が高いコールセンターの場合、アーランC式で算出された適正人員数以上のオペレーターを確保しなければ、実際のサービスレベルは80%を超えない点に留意しましょう。

「コールセンター白書2018」によると、コールセンターにおける放棄呼率の平均値は8.3%です。これを超える放棄呼率の場合は、適正人員数を増やすか否かを検討することをおすすめします。

4.実働人数と在籍人数のバランスを見る

ここまでのステップで導き出されるのは、あくまでも実際に受電業務にあたる「実働人数」です。
しかし当然ながら、急な欠席の交代要員や受電以外の業務などを考慮すると、実働人数だけではコールセンターの運営は回りません。
そのため稼働人数とは別に、すべてのスタッフをカウントした「在籍人数」を何人にするかを考える必要があるのです。

以下のような要素を考慮しつつ、自社に合った在籍人数の配置を行いましょう。

<在籍人数に影響する要素>
・体調不良などによる急な欠席
・遅刻や早退
・メールや有人チャットなど受電以外の業務
・研修やミーティングのスケジュール
・各オペレーターのスキル
・システム障害など急なアクシデント etc…

人員配置を適正化するWFMシステムを活用しよう

ここまでご説明した適正人員数の算出を効率化するために、近年では様々なWFMシステムが存在します。

WFMとは

WFM(ワーク・フォース・マネジメント)とは、サービスの質を維持しつつ適切な人員配置による人件費の適正化を図る施策全般、あるいは人員配置を支援するシステムのことを指す。

以下のような状況でSVに負担がかかっているコールセンターは、特にWFMシステム導入の効果が大きいです。

  • 曜日や時間、天候、メディアへの露出などで業務量が大きく変わるため、呼量予測を立てるのに様々な要素を加味する必要がある
  • コールセンターの規模が大きく、オペレーターの配置を決めるのに大人数の希望シフト、個々のスキルや生産性、欠勤率などを考慮しなければならない

WFMシステムを取り入れることでSVの負担が軽減すると同時に、より精度の高い予測が立てられます。結果的に電話が繋がりやすくなり、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

WFMシステムには各種ありますが、一般的な機能は以下のとおりです。

<WFMシステムの機能>
・過去の入電傾向から将来の呼量を予測
・呼量予測に基づき適正人員数を算出
・オペレーターのスキル管理
・呼量予測や希望シフトに基づきシフト作成

導入コストはかかりますが、過剰な人員配置がなくなり、人件費が最適化されます。

また、シフト調整に要していたSVのリソースも空くので、管理者レベルの人件費を有効活用できるという意味でも一考の価値はあるでしょう。

無料トライアルを提供しているWFMシステムもあるため、一度試してみることをおすすめします。

まとめ

適正人員の配置について理解が深まったでしょうか?

適正人員数を導き出すには、膨大な過去のデータから季節要因やトレンド要因を分析し、呼量の予測を立てなければなりません。呼量予測に反映すべき要因か否かを判断するには経験値の高い担当者が求められるため、人員配置は職人技とも言える属人的な業務になりがちです。

そのため、自社ならではの適正人員数の算出方法をナレッジ化しておくことが重要です。経験の浅い担当者でも一定の精度で予測できるようにすることで、一人に業務負荷が偏るのを防ぎます。

もしナレッジ化を進める中でエクセルベースの運用に限界を感じるようであれば、WFMシステムの導入を検討すると良いでしょう。

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